2019年の日本株見通し

 

市川レポート(No.622)2019年の日本株見通し

  • 日本株は当面神経質な値動きが続くも下値は限定的、年後半は緩やかに水準切り上げを予想。
  • 海外勢の日本株売り越しやネット裁定残高の減少など需給の極端な歪みは株価の反発を示唆。
  • 増収増益は続き、日経平均の年間レンジは19,000円~24,000円、年末は22,000円を予想。

日本株は当面神経質な値動きが続くも下値は限定的、年後半は緩やかに水準切り上げを予想

2019年の日本株は、世界的な景気減速への強い懸念が後退するまで、神経質な値動きが当面続くと思われますが、年後半には緩やかに水準を切り上げていくとみています。景気減速懸念の後退には、米中経済の底堅さを示す経済指標や、米中貿易摩擦問題および英国の欧州連合(EU)離脱問題の進展などが必要で、相応に時間が掛かると考えます。そのため、株価はこれらの材料を巡りしばらく一喜一憂する展開が見込まれます。

なお、弊社は米中の景気後退は想定しておらず、また、米中両国は昨年のような関税引き上げ合戦は回避して知的財産権保護などの問題で協議を継続し、英国とEUは最終的に「合意あり」の離脱で着地すると予想しています。一方、日本株は昨年末の大幅な調整で、世界的な景気減速と企業業績への悪影響を相当程度織り込んでしまったため、下値はすでに限定的となっている可能性が高いと思われます。

海外勢の日本株売り越しやネット裁定残高の減少など需給の極端な歪みは株価の反発を示唆

日本株の需給面に注目すると、2018年に海外投資家は現物(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興市場の合計)を約5兆7,403億円売り越し、先物(日経225先物、日経225mini、TOPIX先物、ミニTOPIX先物、JPX日経400先物の合計)を約7兆5,163億円売り越しました。つまり、海外投資家には日本株を買い戻す余力が十分にあり、2019年もその動向が注目されます。

また、先物の売り越しなどの影響で、ネット裁定残高は、2018年12月21日から3営業日連続でマイナス(裁定取引における現物買いの残高が現物売りの残高よりも少ない状態)となりました。ただ、一般にこのような需給の極端な歪みは短期間で解消され、株高を促す傾向があります。実際、ネット裁定残高のマイナスは1998年と2016年にも数営業日観測されましたが、いずれもその後、マイナスの解消とともに株価は大きく上昇しました。

増収増益は続き、日経平均の年間レンジは19,000円~24,000円、年末は22,000円を予想

弊社は調査対象とする主要企業227社(金融を除く)の売上高、経常利益、当期純利益について、2018年度は順に前年度比+6.0%、同+10.6%、同+2.1%、2019年度は同+2.6%、同+8.1%、同+4.3%と、増収増益の継続を予想しています(2018年12月6日時点)。この先、世界的な景気減速への懸念は後退していくとみていますので、買い戻し余力のある海外投資家が企業業績の底堅さを確認すれば、割安な日本株の水準が押し上げられる公算が大きくなると考えています。

日経平均株価について、弊社の年間予想レンジは19,000円~24,000円(図表1)、年末着地予想は22,000円です。レンジの下限は、日経平均株価の株価純資産倍率(PBR)が1倍となる水準(約19,390円)を考慮しています。なお、世界的な景気減速への懸念が後退していく過程で、日経平均株価は年末22,000円程度の着地を見込んでいますが、景気が明るさを取り戻す展開となれば、レンジの上限に近づくことも想定されます。

(2019年1月22日)

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