米中間選挙とドル円相場の関係

2018/10/02

市川レポート(No.569)米中間選挙とドル円相場の関係

  • 共和党大統領政権下では中間選挙までドル高・円安、その後はドル安・円高に振れやすい傾向。
  • 一方、民主党大統領政権下では中間選挙までドル安・円高、ただ、その後はまちまちとなる傾向。
  • あくまで参考程度だが、過去の関係性に基づけばトランプ政権下で中間選挙後はドル安・円高へ。

共和党大統領政権下では中間選挙までドル高・円安、その後はドル安・円高に振れやすい傾向

今回のレポートでは、米国の中間選挙とドル円相場の関係を検証します。はじめに、大統領の出身政党とドル円相場の関係について、改めて確認してみます。一般に、共和党は、市場の「自由競争」を重視し、「小さな政府」を標榜するとされています。そのため、過去の政策イメージなどからも、共和党大統領の政権下では「ドル高」が進みやすいとの見方が多いようです。

図表1は共和党の各大統領政権下におけるドル円相場の動きを示したものです。レーガン2期は、プラザ合意によるドル高是正の影響が大きいため、これを除いた4政権について考えます。大統領選挙から中間選挙までの2年間は、4政権ともドル高・円安が進行しました。しかしながら、中間選挙後の2年間をみると、ドル高・円安が続いた政権はなく、4政権ともドル安・円高に転じました。

一方、民主党大統領政権下では中間選挙までドル安・円高、ただ、その後はまちまちとなる傾向

一方、民主党は、経済や市場に「積極介入」し、「大きな政府」を是認するとされています。そのため、為替相場は民主党大統領の政策に大きな影響を受けるとの思惑も強く、民主党大統領の政権下では「ドル安」が進みやすいとの見方が多いようです。そこで、民主党についても同様に、各大統領政権下におけるドル円相場の動きを確認することとします(図表2)。

なお、オバマ2期は、日銀の異次元緩和による円安の影響が大きいため、これを除いた4政権について考えます。大統領選挙から中間選挙までの2年間は、4政権のうち、3政権でドル安・円高が進み、ドル高・円安となったのは1政権のみでした。しかしながら、中間選挙後の2年間では、ドル安・円高が2政権、ドル高・円安が2政権に分かれた結果になりました。

あくまで参考程度だが、過去の関係性に基づけばトランプ政権下で中間選挙後はドル安・円高へ

以上をまとめると、共和党大統領の政権下では、中間選挙までドル高・円安が進みやすく、中間選挙後はドル安・円高に転じやすい傾向がみられます。一方、民主党大統領の政権下では、中間選挙までドル安・円高が進みやすく、中間選挙後はまちまちの動きとなる傾向がみられます。なお、いずれの場合も、前述のプラザ合意や日銀の異次元緩和など、通貨に大きな影響を及ぼすような政策が行われないことを前提としています。

このような関係性を、現在のトランプ米政権にあてはめてみます。共和党大統領の政権下、確かに2016年11月の大統領選挙以降、ドル高・円安が進行しています。そして、来月の中間選挙後は、ドル安・円高に転じるということになります。過去の実績が、必ずしも将来に当てはまるとは限りませんが、ドル円相場を見通す上で、1つの参考にはなると思われます。

 

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(2018年10月2日)

 

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