企業業績の見通しを更新~引き続き増収増益を予想

市川レポート(No.556)企業業績の見通しを更新~引き続き増収増益を予想

  • 調査対象とする主要企業227社の業績見通しについて2018年度は引き続き増収増益を予想。
  • 2018年度の経常利益は前回から約0.4兆円上方修正、前年度比で約4.1兆円増加の見通し。
  • 企業自身の業績予想は引き続き保守的な数字、今後の決算発表で上方修正の余地は残ろう。

調査対象とする主要企業227社の業績見通しについて2018年度は引き続き増収増益を予想

弊社は9月7日、調査対象とする主要企業227社の業績見通しを更新しました。2018年度は、売上高が451.7 兆円、経常利益が40.7兆円、純利益が28兆円の着地を予想しています。前年度比の伸び率は、順に+6.0%、+11.1%、+3.2%となります。前回6月7日時点では、+5.9%、+10.0%、+1.7%でしたので、今回はいずれも上方修正となり、引き続き増収増益を見込みます。

主要企業227社のうち、製造業は132社、非製造業は95社です。製造業について、2018年度の売上高は前年度比+5.0%、経常利益は同+10.6%、純利益は同+4.0%と予想しています。一方、非製造業は、売上高が同+7.7%、経常利益は同+11.8%、純利益は同+1.9%で、製造業と非製造業ともに増収増益を見込んでいます。なお、前提となる為替レートは、ドル円が1ドル=110円(前回108円)、ユーロ円が1ユーロ=125円(前回130円)です。

2018年度の経常利益は前回から約0.4兆円上方修正、前年度比で約4.1兆円増加の見通し

今回の見通し更新で、2018年度の経常利益は、前回から約3,900億円上方修正されました。ただし、この中には、前提となる為替レートを変更したことによる約800億円の増益分が含まれていますので、実質的な上方修正幅は小さくなります。また、弊社の分類による30セクターのうち、18セクターの経常利益が上方修正され、10セクターが下方修正されましたが、いずれも軽微な修正にとどまっています。

2018年度の経常利益は、前年度から約4.1兆円増加する見通しです。増益寄与が大きい上位セクターは、通信、商社、精密機器、産業用機械等、電子部品とみています。一方、受注採算の悪化が見込まれる建設や、スマホ製造装置や工場自動化(FA)の減速が予想される工作・ベアリング、この他にも、電力・ガスが、減益寄与となるセクターと考えています。

企業自身の業績予想は引き続き保守的な数字、今後の決算発表で上方修正の余地は残ろう

2018年度の業績見通しにおける前提為替レートについて、計算上、ドル円が5円変動すると、経常利益は±8,600億円程度増減し、ユーロ円が5円変動すると、±2,300億円程度増減します。つまり、ドル円とユーロ円の5円の変動は、経常利益にとって±3%弱の変動要因になります。なお、円高に対する経常減益の度合いが大きいセクターは、自動車、産業用機械等、商社です。

最後に、調査対象の227社について、企業自身による業績予想を確認すると、2018年度の売上高の伸び率は前年度比+5.4%、経常利益は同+4.8%となっています。いずれも前回(それぞれ同+4.8%、同+3.7%)から上方修正されていますが、弊社の予想を下回ります。依然として、業績予想に対する企業の保守的な姿勢がうかがえますが、今後の決算発表で、業績予想が上方修正される余地はまだ残っているとみられます。

180910

(2018年9月10日)

 

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