ダウ平均も節目の25,000ドル回復~米国株式市場の見通し

 市川レポート(No.508)ダウ平均も節目の25,000ドル回復~米国株式市場の見通し

  • 米中制裁関税の棚上げや好調な米企業業績を背景に、ダウ平均は節目の25,000ドルを回復。
  • 米主要500社の2018年の予想増益率は、+21.9%が見込まれており、企業業績は当面良好。
  • S&P500の2018年末の水準は2,850ポイント、ダウ平均は25,900ドルと、堅調な推移を予想。

米中制裁関税の棚上げや好調な米企業業績を背景に、ダウ平均は節目の25,000ドルを回復

5月21日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均は25,013ドル29セントで取引を終え、約2カ月ぶりに節目の25,000ドルを回復しました。米国株式市場でも、米国と中国が貿易協議を経て、互いに制裁関税の発動を棚上げしたことが好感され、投資家心理の改善につながりました。そこで以下、米国の企業業績や経済見通しを踏まえ、米国株式市場の先行きを展望します。

トムソン・ロイター社の調査によれば、5月21日時点でS&P500種株価指数を構成する500社のうち465社が2018年1-3月期の決算発表を終えました。このうち、利益の伸びがアナリスト予想を上回った企業の割合は79%に達しています。また、S&P500種株価指数全体でみた場合、2018年1-3月期の増益率は前年同期比で+26.2%となり、好調な決算が確認されています。

米主要500社の2018年の予想増益率は、+21.9%が見込まれており、企業業績は当面良好

S&P500種株価指数の11業種について、業種別指数の年初来騰落率は図表1の通りです。S&P500種株価指数をアウトパフォームしている業種は、情報技術、エネルギー、一般消費財・サービスの3業種だけです。ただ、2018年通年の利益見通しは、全体的にそれほど悪くありません。11業種の2018年の予想増益率を、図表1の騰落順に並べたものが図表2です。

S&P500種株価指数全体でみた場合、2018年の予想増益率は前年比で+21.9%と、2ケタの伸びが見込まれています。11業種のうち、不動産と公益事業が1ケタの伸びにとどまる見通しですが、11業種は全て増益予想です。なお、2019年の増益率は、S&P500種株価指数全体で前年比+9.4%と、2ケタ近い伸びが予想されており、米国企業の業績は当面良好と思われます。

S&P500の2018年末の水準は2,850ポイント、ダウ平均は25,900ドルと、堅調な推移を予想

なお、弊社では米国経済について、底堅い成長と緩やかな物価の伸びを見込んでおり、2018年の実質成長率は前年比+2.8%を予想しています。また、年末までの利上げはあと2回、米10年国債利回りの2018年12月末の水準は3.2%とみており、米国株へのマイナスの影響は限定的と考えます。ただ、米金利見通しに影響するイベントとして、6月12日、13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えており、こちらに注目しておく必要があります。

原油価格の上昇はやや気掛かりですが、石油輸出国機構(OPEC)に増産余力があることや、米国の原油生産量が増加していることを勘案すれば、一本調子に上昇していく公算は小さいと思われます。弊社では米国株について、良好な企業業績とマクロ環境の見通しを踏まえ、堅調な推移を見込んでいます。現時点で、S&P500種株価指数の2018年12月末の水準は2,850ポイント、ダウ工業株30種平均は25,900ドルと予想しています。

 

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(2018年5月22日)

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