EPS・PERマトリックスで考える日経平均の価格水準

市川レポート(No.492)EPS・PERマトリックスで考える日経平均の価格水準

  • 日経平均が織り込む直近本決算のEPS約1,700円は、新年度の利益見通し反映で変化しよう。
  • EPSが2%上昇し、PERが現状水準で不変ならば、日経平均は計算上22,000円台を回復する。
  • EPS2%上昇とPER13.29倍で23,000円近接、23,000円台の回復はそれほど困難ではない。

日経平均が織り込む直近本決算のEPS約1,700円は、新年度の利益見通し反映で変化しよう

EPS(Earnings Per Share)」とは「1株あたり利益」のことです。利益を発行株数で割ったもので、企業業績を反映して変動します。「PER(Price Earnings Ratio)」とは「株価収益率」のことです。株価を1株あたり利益で割ったもので、投資家にとって株価の割高・割安を判断する尺度になります。EPSとPERを掛け合わせると、現状の株価水準が得られます。

4月11日の日経平均株価の終値は21,687円10銭で、PERは12.79倍でした。したがって、日経平均株価を構成する225社の直近本決算におけるEPSは、1,695円63銭(日経平均株価ベース)程度が見込まれていることになります。なお、4月下旬から3月決算企業の決算発表が本格化します。その際、公表される2018年度の利益見通しによって、EPSは変化していくことになります。

EPSが2%上昇し、PERが現状水準で不変ならば、日経平均は計算上22,000円台を回復する

日経平均株価を構成する225社のうち、8割強が3月決算企業です。そのため、日経平均株価のEPSは、決算発表が一巡する5月中旬頃には、3月決算企業の2018年度の利益見通しを織り込んだ水準に変化していると思われます。そこで以下、EPSが変化した場合、PERとの組み合わせで、株価水準がどのように動くのか、EPSとPERの行列表(マトリックス)を使って考えてみます(図表1)。

例えば、日経平均株価のEPSが、3月決算企業の2018年度の利益見通しを織り込んで、2%上昇すると、1,729円54銭程度になります。PERが現状の12.79倍で変わらなければ、日経平均株価は計算上、22,000円台を回復します。また、EPSは6%上昇で1,797円37銭程度になるので、PERが12.79倍で不変とすれば、日経平均株価は計算上、23,000円近くまで上昇します。いずれのケースもPERが上昇すれば、株価はさらに上昇します。

EPS2%上昇とPER13.29倍で23,000円近接、23,000円台の回復はそれほど困難ではない

日経平均株価のPERは、直近3年平均で約14.87倍なので、現状の12.79倍は割安な水準といえます。ただ、米中貿易摩擦問題や中東問題などで、先行きの不透明感が強い場合、株価はそのリスクを反映するため、PERが低くても一概に割安と判断されないことがあります。逆に、決算を受けてEPSが上昇するなかで、これらの問題への懸念が後退すれば、株価は割安との見方が強まり、PERが切り上がる形で株価の上昇が予想されます。

ここで再び、前述の1つめの例を確認します。日経平均株価のEPSが2%上昇して1,729円54銭程度となり、PERが現状の12.79倍から13.29倍に上昇したとします。この時、日経平均株価は計算上、23,000円に近接します。弊社は、2019年3月末における日経平均株価の水準について、23,300円程度を予想していますが、それほど達成が難しい水準ではないと考えています。

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(2018年4月12日)

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