日経平均株価の24,000円という水準

市川レポート(No.470)日経平均株価の24,000円という水準

  • 日経平均は長期的な下げ幅を埋める比較的強い動きが足元で続いており24,000円は通過点。
  • なお、昨年9月上旬からの日本株の動きをみれば、海外投資家動向の影響が大きいことは明らか。
  • ただ上昇ペースが速いため、決算発表を受けた株価の調整も予想されるが、一時的なものとなろう。

 

日経平均は長期的な下げ幅を埋める比較的強い動きが足元で続いており24,000円は通過点

日経平均株価は1月18日の取引時間中に、24,084円42銭の高値を付け、節目となる24,000円台を一時回復しました。なお、終値で見た日経平均株価の史上最高値は、1989年12月29日につけた38,915円87銭で、バブル崩壊後の最安値は、2009年3月10日につけた7,054円98銭です。この最高値から最安値までの下げ幅から50%戻した水準を計算すると22,985円43銭、つまり約23,000円となります(図表1)。

日経平均株価が、半値戻しの水準である23,000円を経て、24,000円台に到達したということは、長期的な下げ幅を埋める比較的強い動きが足元で続いていると解釈できます。テクニカル分析の1つであるフィボナッチ・リトレースメントを用いた場合、50%戻しの次の目途は61.8%戻しとなり、この水準を計算すると26,745円01銭になります。直ちにこの水準に達することは困難と思われますが、少なくとも24,000円は通過点と考えます。

 

なお、昨年9月上旬からの日本株の動きをみれば、海外投資家動向の影響が大きいことは明らか

ここで、日本株市場で売買代金シェアの約6割を占め、株価に強い影響力を持つ海外投資家の動向を確認してみます。日経平均株価は、2017年9月上旬から11月上旬にかけて大きく上昇しました。この期間における海外投資家の売買状況をみると、現物、先物ともおおむね買い越している様子が窺えます(図表2)。そのため、株価の大幅高は海外投資家による買い越しが一因と推測されます。

その後、日経平均株価は2017年11月上旬から12月末まで、22,000円から23,000円を中心とするレンジでの推移が続きました。この期間における海外投資家の売買状況をみると、現物、先物ともおおむね売り越しに転じ、買いが一服している様子が窺えます。ちなみに、この期間に日本株を大きく買い越したのは、自己(証券会社などが自己勘定で行う取引)や、年金基金の動きを示すとされる信託銀行でした。

 

ただ上昇ペースが速いため、決算発表を受けた株価の調整も予想されるが、一時的なものとなろう

海外投資家は、2018年1月第1週に再び現物、先物ともに買い越しており、日経平均株価も年明け以降、再び上昇基調を強めています。今回、日経平均株価は一時、24,000円台を回復しましたが、足元で海外投資家による日本株買いが継続し、それが影響している可能性が高いと思われます。ただ、日経平均株価が終値で23,000円台を回復した1月4日から、わずか9営業日で24,000円台乗せとなったため、上昇ペースの速さがやや懸念されます。

こうしたなか、日本では来週から3月期決算企業の2017年4-12月期の決算発表が始まります。前回、2017年4-9月期の決算発表では、電気機器、輸送用機器、化学などの業種において、好決算の主力大型株や値がさ株が日本株を大きく押し上げました。今回の決算では、製造業を中心に業績の回復傾向が引き続き確認できるかが1つのポイントです。決算発表を受け、材料出尽くしからいったん株価の調整も予想されますが、一時的なものと考えます。

 

 

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(2018年1月18日)

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