日本株セクターの最近の動き

市川レポート(No.443)日本株セクターの最近の動き

  • 東証33業種について、4-6月期決算前後のパフォーマンスの変化に基づき、4つのグループに分類。
  • 建設業、機械などは好調が続く、非鉄金属、輸送用機器などは決算後からパフォーマンスが改善。
  • 鉄鋼や化学などは足元失速、中間決算では出遅れ業種に見直し買いや物色が広がるかに注目。

 

東証33業種について、4-6月期決算前後のパフォーマンスの変化に基づき、4つのグループに分類

今回は、東証33業種のパフォーマンスについて、新年度入り後から4-6月期決算発表を経て足元に至るまで、どのように変化してきたかを検証します。「新年度入り後から4-6月期決算発表が本格化するまで」を期間1、「決算発表が本格化してから直近まで」を期間2とし、それぞれの期間における東証株価指数(TOPIX)対比でのアウトパフォーム、アンダーパフォームを示すと、図表1の左図、中央図の通りとなります。

さらに東証33業種を、「期間1、2ともTOPIXをアウトパフォームした業種」をグループ①、「期間1はアンダーパフォーム、期間2はアウトパフォームした業種」をグループ②、「期間1はアウトパフォーム、期間2はアンダーパフォームした業種」をグループ③、「期間1、2ともアンダーパフォームした業種」をグループ④にそれぞれ分類し、まとめたものが図表1の右図です。

 

建設業、機械などは好調が続く、非鉄金属、輸送用機器などは決算後からパフォーマンスが改善

グループ①の「その他製品」では、同指数の時価総額の約5割を占める任天堂が、新型ゲーム機「NintendoSwitch」の好調な売り上げを背景に、好パフォーマンスを主導しています。「サービス業」は、同指数の時価総額上位を占めるリクルートホールディングスやオリエンタルランドが牽引役です。「建設業」は、都心の再開発や東京五輪関連工事の本格化が追い風となっており、「機械」は、中国からの工作機械の受注回復などが好感されています。

グループ②には、4-6月期の好決算を機に、パフォーマンスが改善した傾向がみられます。具体的には、「非鉄金属」では住友金属鉱山や三菱マテリアルなど、「ゴム製品」ではブリヂストンなど、そして「輸送用機器」ではトヨタ自動車やデンソーなどです。なお、「石油・石炭製品」や「鉱業」は、原油価格の持ち直しなどが材料視された可能性が高いと考えます。

 

鉄鋼や化学などは足元失速、中間決算では出遅れ業種に見直し買いや物色が広がるかに注目

グループ③の「鉄鋼」や「化学」の4-6月期決算は、総じて良好な内容でしたが、前年度から堅調な動きが続いていたため、いったん材料出尽くしの反応と思われます。ただ、「鉄鋼」は、秋以降に中国の粗鋼生産が減少するとの懸念も、一部影響していると推測されます。なお、神戸製鋼所の不正行為は、足元の動きをみる限り、材料としてはいったん消化されたとみられます。

グループ④の「銀行」など金融は、依然として続くマイナス金利環境が、「電気・ガス業」や「食料品」は、市場の期待に届かなかった一部企業の決算が、それぞれパフォーマンスに影響したと考えます。なお、今月下旬から4-9月期決算発表が本格化します。決算内容を踏まえ、グループ③のなかでの見直し買いや、グループ④のなかでの物色が広がるようであれば、日本株への投資意欲は強いと判断する1つの材料になると思われます。

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

 

 

 

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(2017年10月19日)

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