4-6月期企業決算の途中経過
市川レポート(No.424)4-6月期企業決算の途中経過
- ここまでの4-6月期決算は、製造業を中心に業績持ち直しの動きがみられ、総じて良好な内容に。
- 足元では「空運業」、「電気・ガス業」などが好調、一方、「証券・商品先物取引」などは依然低調。
- 市場の反応はまだ限定的だが、業績見通しに安心感が広がれば、日本株浮上のきっかけになろう。
ここまでの4-6月期決算は、製造業を中心に業績持ち直しの動きがみられ、総じて良好な内容に
足元では、3月期企業の4-6月期決算発表が続いています。昨年の4-6月期は、円高や新興国の景気低迷が、企業業績にマイナスの影響を及ぼしていました。しかしながら、すでに過度な円高リスクは後退し、昨年後半から新興国の景気は緩やかな回復傾向にあります。そのため今回は、製造業を中心に業績持ち直しの動きがみられ、総じて良好な決算内容となっています。
7月27日付レポートでは、東証33業種について、新年度入り後のパフォーマンスを検証しました。その結果、上昇率上位は「その他製品」、「建設業」、「電気機器」などで、下落率上位は「石油・石炭製品」、「海運業」、「鉱業」などでした(図表1)。そこで今回は、直近までの決算発表の結果を反映した、東証33業種別の短期的なパフォーマンスを検証してみます。
足元では「空運業」、「電気・ガス業」などが好調、一方、「証券・商品先物取引」などは依然低調
図表2の通り、上昇率の大きい業種は「空運業」、「電気・ガス業」、「卸売業」などでした。空運業指数は日本航空が5割強、ANAホールディングスが4割強のウェイトを占めており、好決算を受けた両者の株高が、同指数の押し上げにつながりました。電気・ガス業では、4-6月期が減益決算となった企業が目立ちましたが、市場ではおおむね想定の範囲内との見方から、これら企業の株を買い戻す動きもみられます。
一方、下落率の大きい業種は「証券・商品先物取引」、「ガラス・土石製品」、「石油・石炭製品」、などでした。証券・商品先物取引指数は、野村ホールディングスと大和証券グループ本社で7割強のウェイトを占めており、2社の決算発表後の株安が影響しています。ガラス・土石製品は、主要企業の決算はまずまずの内容でしたが、いったん材料出尽くしで、売りに押されたとみられます。
市場の反応はまだ限定的だが、業績見通しに安心感が広がれば、日本株浮上のきっかけになろう
図表1と図表2を比べてみると、今回の決算発表を経て、騰落率の上位グループだった電気機器、化学、情報・通信業などが大きく順位を下げ、代わりに中位グループだった空運業、電気・ガス業などが浮上していることが分かります。一方、下位グループでは、輸送用機器などは順位を上げたものの、証券・商品先物取引や、石油・石炭製品などは、低位のままです。
足元の業種別パフォーマンスには、決算の影響が相応に出始めているように見受けられますが、投資マネーの動きは、まだ一部のセクターローテーションにとどまり、株価指数全体の押し上げには至っていません。もちろんこれは途中経過であり、まだ決算発表は続いています。業績見通しへの安心感が徐々に広がれば、今回の企業決算が日本株浮上のきっかけになる可能性はあるとみています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2017年8月4日)
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