日経平均株価と節目の2万円
市川レポート(No.388)日経平均株価と節目の2万円
- 日経平均は短期間の急騰で大台回復前の売りも出やすいが、相場を取り巻く環境は大きく改善。
- 円相場が想定為替レートより円安で推移し、業績見通しに上振れ余地が生じたのも株高の一因。
- この先は調整売りをこなし2万円台の回復を見込むも、一段高にはトランプ政策の見極めが必要。
日経平均は短期間の急騰で大台回復前の売りも出やすいが、相場を取り巻く環境は大きく改善
足元では、北朝鮮を巡る地政学リスクと欧州の政治リスクがいったん後退し、ドル円相場が1ドル=113円台を回復するなか、日経平均株価は節目の2万円に近づきました。ただ終値ベースでみると、4月14日から5月8日までの14営業日で、すでに約1,560円上昇していますので、目先は戻り売りも出やすいと思われます。それでも日本株を取り巻く環境はここにきて大きな改善がみられます。
日経平均ボラティリティー・インデックスは、4月中旬頃は20%を超えていましたが、直近では15%台まで低下し、先行きの不透明感が相応に払拭されたことを示唆しています(図表1)。また空売り比率も3月から4月にかけて連日40%を超える水準が続いていましたが、直近では35%台まで低下し、株価の下落に収益機会を窺う投資家の動きにも一服感がみられています(図表2)。
円相場が想定為替レートより円安で推移し、業績見通しに上振れ余地が生じたのも株高の一因
日本では上場企業による2017年3月期決算の発表が続いており、5月12日にピークを迎えます。引き続き注目は新年度の業績ガイダンスと想定為替レートですが、今のところ業績ガイダンスは予想通り、総じてやや控え目なものとなっています。またドル円の想定為替レートは、日本経済新聞社の集計によれば、105円と110円に二極化しています(5月1日までに決算を発表した3月期企業110社の集計)。
ドル円相場は現状110円よりもドル高・円安水準に位置しており、控えめな業績ガイダンスを踏まえれば、企業の業績見通しに上振れ余地が生じるため、これを織り込む形で足元の日経平均株価が上昇したと考えます。なお投資部門別株式売買動向をみると、すでに海外投資家は4月第3週まで3週連続で日本株を買い越しており、5月入り後の株高にも相当程度寄与したと推測されます。
この先は調整売りをこなし2万円台の回復を見込むも、一段高にはトランプ政策の見極めが必要
弊社が選定するコアリサーチ・ユニバース221社(金融を除く)について、2018年3月期の経常利益は、為替レートの前提を1ドル=110円、1ユーロ=115円とした場合、前年同期比で+13%と予想しています。2ケタの増益見通しと相対的な割安感は、当面の日本株を支える材料になると考えます。
日経平均株価はこの先、調整売りをこなしながら、2万円台の回復を目指す展開が見込まれますが、前回のレポートでも触れた通り、欧州や北朝鮮、原油関連では注意を要する材料も残り、売り買いが交錯する場面も予想されます。そのため日経平均株価の2015年6月高値(20,952円71銭)更新は、少なくともトランプ政策の日本企業への影響が確認できるまで、すなわち米18年度予算と税制改革の概要が明らかになる6月よりも先になる可能性が高いと考えます。
(2017年5月9日)
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