2017年の日本株展望

2017/01/05

市川レポート(No.337)2017年の日本株展望

  • 日経平均の年間予想レンジは17,500円~21,800円、値幅はトランプ政策の不確実性を反映。
  • 早ければ3月に判明する財政規模は公約を下回る見通し、市場の過度な期待はいったん修正へ。
  • 日経平均は調整しても一時的で、トランプ政策が米景気と米株を押し上げ、回復基調に戻ろう。

日経平均の年間予想レンジは17,500円~21,800円、値幅はトランプ政策の不確実性を反映

2017年の日経平均株価について、弊社では17,500円から21,800円の予想レンジを設定しています(図表1)。値幅は4,300円になりますが、2016年の値幅が4,728円89銭であったことや、恐らく今年最大の材料になるであろうトランプ次期米大統領の経済政策が、どの程度の規模でいつ実行されるのか、そもそも現時点で明らかになっていないことを勘案した値幅となっています。

年間の値動きは以下を想定しています。年初はトランプ政策への強い期待が持続する限り、日経平均株価は2万円を意識する動きが続くと考えます。3月までにはトランプ政策の概要が明らかになるとみられますが、過度な期待が修正されれば、日経平均株価はいったん下値を試す展開も予想されます。ただトランプ政策は相応に米景気を押し上げると思われるため、米国株の上昇に連れ日本株も年末に向け回復基調に戻る可能性が高いと考えます。

早ければ3月に判明する財政規模は公約を下回る見通し、市場の過度な期待はいったん修正へ

トランプ政策の焦点は通商政策と財政政策です。1月20日の大統領就任式では北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉表明などが予定されており、通商政策に関する保護主義の度合いが明らかになる見通しです。弊社では通商政策について、交渉ベースの現実的なアプローチが採用され、一方的な強硬措置はとられないとみています。そのため保護主義に対する市場の懸念は次第に後退すると見込んでいます。

また米議会において予算決議案の審議が順調に進めば、早ければ3月には財政政策の規模が判明すると思われます。弊社は今後10年間で2.4兆ドルの減税と5年間で2,750億ドルのインフラ投資という財政中立的な内容を予想していますが、財政規模がトランプ次期米大統領の公約(10年間で最大約6兆ドルの減税と1兆ドルのインフラ投資)を下回ることで、市場の過度な期待はいったん修正される公算が大きいと考えます。

日経平均は調整しても一時的で、トランプ政策が米景気と米株を押し上げ、回復基調に戻ろう

しかしながら財政中立的な規模でも、減税とインフラ投資の実行で、米国の経済成長率は2017年7-9月期から2018年4-6月期の1年間に0.8%ポイント程度押し上げられると考えます。そのため市場の失望や調整は一時的なものにとどまり、年後半に米国経済の成長ペースが上向いて、米国株が堅調に推移すれば、日本株も回復基調に戻ると思われます。ただし日本株の上昇余地は、日本企業の企業業績見通しによるところが大きいとみています。

弊社は調査対象のコアリサーチ・ユニバース221社(金融を除く)について、2017年度の経常利益予想を前年度比+13.2%としています。ドル円の想定レートは1ドル=110円ですので、今後ドル円レートが110円を超える円安水準で推移すれば、業績見通しに上方修正余地が生じます。そしてトランプ政策が大きな波乱なく、米成長ペースと米国株の押し上げを促せば、日経平均株価は2017年10-12月期にレンジ上限の21,000円台が意識される場面も期待されます。ただ引き続き欧州の政局や中国および新興国の動向はリスク要因であり、トランプ政権の為替政策も内容次第で日本株に大きな影響を与える可能性があります。

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 (2017年1月5日)

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