日経平均19,000円台回復の先にあるもの

市川レポート(No.330)日経平均19,000円台回復の先にあるもの

  • トランプ政策への期待は根強く、ドル高・円安が進行して日本株を押し上げる展開が続いている。
  • テクニカル分析の客観的な上値目途は、日経平均株価が20,300円台、ドル円は119円台半ば。
  • 「期待」は自己実現的に景気を動かすことも、来年具体策がみえたところで「期待」一服の可能性。

トランプ政策への期待は根強く、ドル高・円安が進行して日本株を押し上げる展開が続いている

日経平均株価は12月12日、19,155円03銭で取引を終えました。11月9日には一時16,111円81銭の安値をつけていたので、1カ月ほどで約3,000円上昇したことになります。一方、ドル円は12月12日の東京外国為替市場において1ドル=115円台で推移し、11月9日につけた安値101円20銭水準から1カ月ほどで約14円の円安が進んだことになります。

市場では大型減税やインフラ投資を掲げるトランプ次期大統領への「期待」は根強く、ドル高・円安が進行して、日経平均株価を押し上げる展開が続いています。ここ5年程度、日経平均株価はドル円が1円変動すると約243円変動していました(図表1)。この関係のみを考慮すれば、日経平均株価は14円の円安で約3,400円上昇することになるので、足元の日経平均株価の動きも違和感はないということになります。

テクニカル分析の客観的な上値目途は、日経平均株価が20,300円台、ドル円は119円台半ば

10月26日付レポート「日経平均株価のテクニカル分析」でもお話ししましたが、日経平均株価は2月12日安値14,865円77銭と6月24日安値14,864円01銭でダブルボトムをつけました。その後はネックラインとなる4月25日高値17,613円56銭を大きく上抜けましたので、計算上の客観的な目標値は、20,361円35銭~20,363円11銭となります。直ちにこの水準まで上昇するということではありませんが、一応の目安と考えられます。

またドル円について、2015年6月高値(125円86銭水準)から2016年6月安値(99円02銭水準)までの下げ幅に関し、フィボナッチ・リトレースメントで上値目途を計算すると、下げ幅の61.8%戻しとなる115円61銭水準が得られます。しかしながらドル円は本日12月12日にこの水準を回復しましたので、次の目途値は76.4%戻しとなる119円53銭水準となります(図表2)。

「期待」は自己実現的に景気を動かすことも、来年具体策がみえたところで「期待」一服の可能性

「期待」はしばしば自己実現します。今回、トランプ政策で米景気が上向くという強い「期待」で、ダウ工業株30種平均はすでに20,000ドルの大台を窺う展開となり、12月9日に発表された12月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報)もほぼ2年ぶりの高水準となりました。つまり「期待」で株価が上昇し、それによって消費者景況感が改善し、更なる株高を促すという好循環が発生しており、これが続けば政策実行前に景気が上向きます。

トランプ政策の概要が明らかになるのは2017年1-3月期です。1月20日にトランプ大統領の就任式が行われ、ここで通商政策に関する方針が確認できる見通しです。また3月には予算決議案が固まる見込みで、これにより財政支出の規模が確認できます。当社では通商政策について交渉ベースの現実的なアプローチが採用されるとみており、またインフラ投資は5年で2,750億ドル、減税は10年で2.4兆ドルを予想しています。具体的な政策がみえたところで「期待」一服の可能性はありますが、相場の大崩れには至らないと考えます。

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 (2016年12月12日)

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