米企業決算と米国株の見通し

市川レポート(No.310)米企業決算と米国株の見通し

  • 直近で米主要500社のうち70社が7-9月期の決算発表を終え、80%が予想を上回る結果に。
  • 7-9月期の最終利益見通しは前年同期比0.5%増、向こう数四半期も増益傾向が続く見通し。
  • 増益見通しに支えられ、年末時点のダウ平均は18,900ドル、S&P500は2,220ポイントを予想。

直近で米主要500社のうち70社が7-9月期の決算発表を終え、80%が予想を上回る結果に

米国では10月11日の米アルミ大手アルコアを皮切りに、7-9月期の決算発表が始まりました。ただアルコアの利益が予想に届かなかったため、同社の株価は7年ぶりの大幅安となり、米企業決算の先行きに不透明感が強まりました。しかしながら14日以降に発表されたJPモルガンチェース(※)など米大手金融機関の決算がそろって予想を上回ると、市場に安心感が広がり、米国株は足元で総じて底堅い動きが続いています。

トムソン・ロイター社によれば、米主要企業500社のうち10月19日時点で70社が決算発表を終えました。このうち利益が予想を上回った企業の割合は80%、予想と一致した割合は3%、予想を下回った割合は17%となり、7-9月期決算は順調な滑り出しとなっています。業種別では、金融、エネルギー、生活必需品、テクノロジーなどが好調な決算を発表しています。

7-9月期の最終利益見通しは前年同期比0.5%増、向こう数四半期も増益傾向が続く見通し

これまで米主要500社の7-9月期の最終利益は、前年同期比で小幅な減益が見込まれていました。しかしながら決算が好調なスタートを切ったことから、10月19日時点では前年同期比で0.5%の増益見通しに転じています。7-9月期の決算は依然としてエネルギー企業の大幅減益が業種全体の重しになるとみられますが、10-12月期以降はその影響度合いが薄まると予想されます。

10月19日時点における向こう数四半期の最終利益の見通しは、10-12月期が前年同期比8.1%増、2017年1-3月期は同14.5%増、4-6月期は同12.1%増、7-9月期は同13.4%増となっています(図表1)。また通年における最終利益の見通しも、2016年が前年比0.4%増、2017年は同13.4%増となっており、現時点では順調な利益の伸びが見込まれています。

増益見通しに支えられ、年末時点のダウ平均は18,900ドル、S&P500は2,220ポイントを予想

2017年通年の最終利益は、エネルギー、素材、テクノロジーなどの業種で高い上昇率が予想されます(図表2)。なお12カ月先予想株価収益率(PER)は、直近でS&P500種株価指数が16.6倍、ストックス欧州600指数は14.6倍、東証株価指数(TOPIX)は13.4倍となっており、米国株は相対的に割高な水準にあります。しかしながら米国株は企業の増益見通しに支えられ、底堅い動きが継続すると思われます。

この先、11月8日の米大統領選挙や、利上げが予想される12月13日、14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)などの重要イベントを波乱なく通過すれば、ダウ工業株30種平均は年末時点で18,900ドル程度、S&P500種株価指数は2,220ポイント程度の着地が見込まれます。米国株の堅調推移は日本株にも追い風です。日本では来週から2017年3月期決算企業の中間決算が本格化しますが、日本株をみる上では引き続き米国の7-9月期決算と株価動向にも注目しておく必要があると考えます。

※ 個別銘柄に言及していますが、当該銘柄の推奨を目的とするものではありません。

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 (2016年10月20日)

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