日米英の重要イベントと相場展望

市川レポート(No.263)日米英の重要イベントと相場展望

  • 足元の市場では英国民投票までの不透明感を嫌気し、思惑先行でリスクオフの動きが強まる。
  • FOMCは利上げ見送りの見通し、日銀の追加緩和も見送りとみるが黒田総裁の判断に注目。
  • ドル円は102円、日経平均は15,000円を目安にボラティリティの大きい地合いがしばらく続こう。

足元の市場では英国民投票までの不透明感を嫌気し、思惑先行でリスクオフの動きが強まる

足元の金融市場では、株価の下落、国債価格の上昇(利回りは低下)、円高の進行というリスクオフ(回避)の動きが顕著です。背景には「Brexit(ブリクジット)=英国の欧州連合(EU)離脱」に対する懸念が強く影響しているとみられます。EU加盟継続の是非を問う英国の国民投票は来週6月23日に迫っており、今週は日米で金融政策決定会合が開催されます。そこで各イベントの注目ポイントを整理し、円相場と日本株を展望します。

3月28日付レポート「Brexitが金融市場に与える影響」(←クリックするとPDFファイルが開きます)でお話した通り、弊社では最終的にBrexitは回避されるとみていますが、相場の傾向として、国民投票までの不透明感を嫌気し、思惑先行でリスクオフ(回避)の動きを強めることは十分考えられます。なお国民投票の結果は、日本時間6月24日の午後に大勢が判明する見通しです。

FOMCは利上げ見送りの見通し、日銀の追加緩和も見送りとみるが黒田総裁の判断に注目

6月14日、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが見送られる見通しです。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は今回の記者会見で、6月6日の講演と同様、米国経済について慎重ながらも楽観的な見方を示し、緩やかな利上げ余地を残すとみられます。また最新の経済見通しでは、FOMCメンバーが適切と考える政策金利の水準も焦点です。前回3月時点の「点(ドット)」分布は年内2回の利上げを示唆していましたが、今回も関心が集まっています。

日銀金融政策決定会合は6月15日、16日に開催されます。今回はFOMCの直後、また翌週に英国民投票が控えるというタイミングでの会合です。追加緩和は7月28日、29日の会合となる可能性が高まっていますが、最終的に黒田総裁がどのような判断を下すのかが注目されます。なお追加緩和の具体的な手段は、マイナス金利の幅拡大とETFの買い増しが中心になるとみており、量を加えた3次元の緩和も考えられます。

ドル円は102円、日経平均は15,000円を目安にボラティリティの大きい地合いがしばらく続こう

現在、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む米利上げはせいぜい年1回程度です。そのためドットが年1回の示唆に下がっても極端なドル安にはつながりにくいと思われます。また日銀の追加緩和見送りという要素だけでドル円が1ドル=100円を割り込む可能性は低いとみています(図表1)。やはり当面はBrexitに注意が必要で、円高の目安は102円としています。万が一英国のEU離脱という結果になれば円急騰が予想されますが、米国などから円売り介入の理解を得やすくなり、政府・日銀は100円を超える円高阻止に動くと考えます。

日本株については円高リスクが残るなか、目先は上値の重い展開が予想されます。日経平均株価は4月8日の安値15,471円80銭、節目の15,000円を下値の目安とみていますが、英国のEU離脱が決定となれば、年初来安値の14,865円77銭が意識されます(図表2)。いずれにせよ日本株と円相場は、日米英の重要イベントをにらみ、価格変動(ボラティリティ)の大きい地合いがしばらく続くと思われます。

160615図表1160615図表2

 

 (2016年6月15日)

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