ここからの日本株
市川レポート(No.209)ここからの日本株
- 足元では昨年のチャイナショック並みの価格変動が続き、海外要因も依然落ち着きはみられず。
- 日本株を取り巻く環境の改善には今しばらく時間を要するも、相対的な魅力は高まりつつある。
- 原油反発などリスク要因の後退を機に日本株が改めて評価され、底固めを経て上昇の可能性も。
足元では昨年のチャイナショック並みの価格変動が続き、海外要因も依然落ち着きはみられず
年初から2月9日まで26営業日が経過しましたが、日本株は値動きの大きい展開が続いています。日経平均株価の同期間における1営業日あたりの値幅(高値と安値の差)は平均で約418円でした。昨年のチャイナショック後、終値で20,000円を割り込んだ8月21日から17,000円を下回った9月29日までの25営業日、平均値幅は約461円でしたので、それに劣らない不安定な動きが足元で続いていることになります。
なお2月8日の欧州市場では、マイナス金利や景気動向への懸念が改めて強まったことで銀行セクターを中心に欧州株が下落し、周辺国の国債も値を崩しました。またWTI原油先物が再び1バレル=30ドルを割り込み、米国株も大きく売られました。翌9日の東京市場ではリスクオフ(回避)の流れを受け継ぎ、日経平均株価は前日から900円超下げ、ドル円は114円台に下落、日本10年国債の利回りは初めてマイナス圏へ低下しました。
日本株を取り巻く環境の改善には今しばらく時間を要するも、相対的な魅力は高まりつつある
このような状況下、日本株を取り巻く環境が改善するには今しばらく時間を要すると思われます。ただ日本株については、現段階で考慮しておくべき点がいくつかありますので、以下列挙しておきます。まずは日銀がマイナス金利を導入したことで、長短円金利の多くがマイナス圏に沈みました。その結果、イールド・スプレッドからみた株式投資の相対的な魅力は高まっています(図表1)。
2月8日時点における予想ベースの配当利回りは、日経平均株価が1.9%、東証株価指数(TOPIX)が2.09%です。参考までに日本国債利回りは40年物でようやく1.21%ですので、円建てである程度のリターンを得ようとする場合、やはり何かしらのリスクをとる必要があります。なお同日における12カ月先の予想PER(株価収益率)はTOPIXが12.5倍(図表2)、S&P500株価指数が15.3倍、ストックス欧州600指数が14.3倍ですので、欧米株に比べても割安感はあるといえます。
原油反発などリスク要因の後退を機に日本株が改めて評価され、底固めを経て上昇の可能性も
市場環境がある程度落ち着くまでは、原油安の恩恵を受けやすい電気、陸運、空運、また海外景気の影響を受けにくい食品や医薬品などの業種が選好されやすいと思われます。ただリスク要因が後退すれば、相対的な魅力や割安感などが改めて評価され、日本株が全体として底固めを経て上昇に転じる可能性が高まると思われます。そのきっかけとしては原油の反発やドル円の上昇などが考えられます。
原油については産油国が財政危機のリスクを無視して生産を続けるとも思えず、将来的な減産合意の可能性は残るとの見方に変わりはありません。ドル円の上昇は米利上げペースによるところも大きく、米経済指標の見極めが必要です。また仮にここから日本株の下落と円高が一段と進行した場合、政府と日銀は何らかの対策を打ち出すことが予想され、それが結果として反転のきっかけになることも考えられます。
(2016年2月9日)
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