年内の日本株を展望する
市川レポート(No.156)年内の日本株を展望する
- 米雇用統計や利上げ時期に関する不確実性が低下し、株式市場のセンチメントは改善。
- ただ本邦企業の業績は外需低迷の影響が避けられないと思われ、幾分慎重な見方が必要。
- 日経平均株価が戻りを試す余地はあるとみるが、年末フェアバリューは19,000円水準。
米雇用統計や利上げ時期に関する不確実性が低下し、株式市場のセンチメントは改善
日本をはじめとする世界の株式市場は、米国の利上げと中国の景気動向という2つの不確実性が重しとなり、夏場に大幅な調整を余儀なくされました。その後、10月2日発表の9月米雇用統計が予想を下回り、8日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で総じてハト派的な議論の内容が確認されると、年内の利上げ観測は大きく後退しました。これにより利上げ時期に関する不確実性が低下し、株式市場のセンチメントは足元で改善しつつあります(図表1)。
日経平均株価は、利上げ見送りを決めた9月のFOMC後も軟調な動きが続き、9月29日の取引時間中には節目の17,000円を割り込み、一時16,901円49銭の安値をつけました。しかしながらその後は前述の通り、米利上げ開始時期が後ずれするとの見方が強まったことや、国内景気の足踏みで日銀の追加緩和期待が浮上したことにより、日経平均株価は急速に買い戻され、10月9日は18,438円67銭で取引を終えています。
ただ本邦企業の業績は外需低迷の影響が避けられないと思われ、幾分慎重な見方が必要
このように日経平均株価は落ち着きを取り戻しつつありますが、今後を展望するにあたっては、改めて国内経済や企業業績の動向を注視していく必要があると思われます。国内経済については、個人消費が雇用や所得環境の改善により比較的底堅い動きを示していますが、企業の輸出や生産活動は、中国やアジア諸国の景気減速などが影響し、製造業を中心にやや低調となっています。
企業業績については、3月期決算企業の中間決算発表が10月下旬から11月中旬にかけて本格化しますが、最近の金融市場の混乱や新興国経済の減速の影響は避けられないと思われます。今年度の主要企業(弊社コアリサーチユニバース216社)の経常利益は、前年度比で2ケタの伸びを予想していますが、業績については幾分慎重な見方が必要と考えています。
日経平均株価が戻りを試す余地はあるとみるが、年末フェアバリューは19,000円水準
なお米国と中国の2つの不確実性は完全に解消された訳ではないため、日本株は米雇用統計やFOMC、また中国の株価や経済指標の動向に、今しばらく神経質な反応を示す展開が続く可能性があります。ただこれら不確実性の消化が時間の経過とともに進み、国内経済の大幅な減速が回避され、また中間決算も無難に乗り切った場合には、年末にかけて日本株が戻りを試す余地は徐々に広がると予想します。
図表2の通り、日経平均株価は8月下旬の急落以降、17,714円30銭(8月26日安値)、17,415円61銭(9月8日安値)、16,901円49銭(9月29日安値)と安値を切り下げてきました。ここから反発に転じる場合は、18,770円51銭(9月9日高値)、19,192円82銭(8月28日高値)を段階的に試すことになると思われます。なお日経平均株価の2015年末におけるフェアバリューは、先月の19,000円台後半のレベルから下方修正し、現時点では19,000円水準と考えています。
(2015年10月13日)
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