日本株の材料整理
市川レポート(No.117) 日本株の材料整理
- 投資家の関心は、ギリシャ問題や中国株から国内経済および4-6月期決算へ移行。
- 目先は企業の決算内容を手掛かりに、個別銘柄を物色する動きが強まると予想。
- その後日本株は米利上げ前の不安定な動きを経て、年末にかけて上昇余地拡大へ。
投資家の関心は、ギリシャ問題や中国株から国内経済および4-6月期決算へ移行
7月に入りギリシャ問題と中国株の下落が相場の波乱要因となりましたが、ギリシャに第3次金融支援が実施される方向となり、また中国当局の株価対策により株価が下げ止まったことで、これらの悪材料はいったん消化されました。日本株投資家の関心は、すでに国内のマクロ経済や4-6月期の企業決算に移っています。
最近の国内経済指標をみると(図表1)、6月の百貨店、コンビニ、スーパーの売上高がそろって3カ月連続で前年実績を上回るなど、堅調な推移が目立ちます。この理由として、名目賃金の伸びが物価の伸びに追いつきはじめたことや、インバウンド(訪日外国人)需要の取り込みなどが挙げられます。一方、輸出や生産はやや低調で、6月の貿易収支は3カ月連続の赤字となり、輸出数量指数は横ばいにとどまりました。また輸出の停滞や在庫調整などの影響で、5月の鉱工業生産は前月比で2カ月ぶりの低下となり、生産の基調判断が引き下げられました。
なお7月22日に発表された6月の訪日外国人客数は、前年同月比52%増の160万人と6月として過去最高を更新しました。中国株の下落で訪日客数への影響が懸念されましたが、6月の中国人訪日客は46万人と、こちらも単月として過去最高を更新する結果となりました。訪日外国人客数の増加傾向が続いていることが確認され、インバウンド消費に関連する業種はこの先も広く恩恵を受けるとの見方が強まっています(図表2)。
目先は企業の決算内容を手掛かりに、個別銘柄を物色する動きが強まると予想
現在、本邦企業の4-6月期決算の発表が続いていますが、基本的には企業の増益基調が確認できる結果になることが予想されます。ただ国内の各種指標が示す通り、内需は良好である一方、外需にはやや懸念が残ります。しかしながら多くの企業が為替の前提レートを1ドル=115円程度に設定しているため、円安による輸出企業の業績押し上げ効果は十分期待できると考えます。目先の日本株は、決算内容を手掛かりに個別銘柄を物色する動きが強まると思われ、株価指数全体の方向性はやや定まりにくくなる可能性はありますが、総じて堅調地合いは維持されると予想します。
その後日本株は米利上げ前の不安定な動きを経て、年末にかけて上昇余地拡大へ
この先、企業決算が進むにつれ、市場の関心は米国の利上げ時期に集まると思われます。早ければ9月にも利上げが行われるとみていますが、過去に例のない金融政策の正常化に向けた第一歩となるため、利上げ前には警戒感から日米などの株式相場が一時的に不安定になることも考えられます。しかしながらいったん利上げが始まれば、①利上げが極めて緩やかなペースで行われること、②利上げが可能なほど米国の景気が強いこと、これらが改めて認識され、また緩やかなドル高円安の進行が本邦輸出企業や訪日外国人客に追い風となることも予想されることから、年末にかけて日本株の上昇余地は拡大するとみています。
(2015年7月24日)
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