今週の日米重要イベントの要点整理と市場への影響について考える

2023/10/30

今週の日米重要イベントの要点整理と市場への影響について考える

    • 日米とも金融政策は据え置きを予想、仮に日銀YCC再修正なら長期金利上昇、円高、株安か。
    • 決算は米国で総じて好調も長期金利上昇が株価の重し、日本は業績予想や企業改革に注目。
    • 日米で金融政策会合が無難に終了し、業績の底堅さと米雇用減速が確認されれば株価反発へ。

日米とも金融政策は据え置きを予想、仮に日銀YCC再修正なら長期金利上昇、円高、株安か

今週は日本と米国で重要イベントが目白押しとなっています。そこで、以下、主なイベントについて要点を整理し、想定される市場への影響について考えます。まず、金融政策会合について、日本では10月30日、31日に日銀の金融政策決定会合が開催されます。基本的な見方は10月25日付レポートの通りで、日銀は今回、賃金と物価の十分な情報やデータがまだそろっていないとし、政策を据え置くと予想しています(図表)。

緩和維持の場合、国内市場はいったん長期金利低下、円安、株高の反応が見込まれますが、仮に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)再修正のサプライズとなれば、逆の反応となる恐れがあり、市場への日銀の丁寧な説明が求められます。一方、米国では10月31日、11月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。今回は「利上げ見送り」、「今後の判断はデータ次第」という結果で無風通過とみています。

決算は米国で総じて好調も長期金利上昇が株価の重し、日本は業績予想や企業改革に注目

次に、企業業績について、米国では主要500社の約半数が10月27日時点で7-9月期の決算発表を終え、8割強が市場予想を上回る1株あたり利益(EPS)を計上しました。米ハイテク大手のマイクロソフト、アルファベット、メタ、アマゾン・ドット・コムは、クラウドやネット広告などが好調で、いずれも売上高とEPSが市場予想を上回りました。ただ、決算発表前から先週末までの株価は、アマゾンを除く3社がマイナスとなっています。

背景には、米長期金利の高止まりがあると推測され、ナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数、そしてダウ工業株30種平均も、足元でさえない動きが続いています。今週は、日本でも半導体製造装置、電子部品メーカーなどの決算発表が予定されており、業績予想の上方修正や資本効率改善などの動向が注目されます。ただ、日米とも好業績が株価を押し上げる展開となるには、少なくとも米長期金利の一服が待たれる状況にあると思われます。

日米で金融政策会合が無難に終了し、業績の底堅さと米雇用減速が確認されれば株価反発へ

最後に、経済指標に目を向けると、米国では10月31日に雇用コスト指数、11月1日に雇用動態調査(JOLTS)、ADP全米雇用リポート、米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数、2日に非農業部門の労働生産性、3日に雇用統計、ISM非製造業景況感指数が発表されます。雇用関連の指標が多く、労働市場の減速傾向が確認されれば、米国市場では、長期金利低下、ドル安、株高の反応が予想されます。

現在、前述の米主要3指数とも200日移動平均線を割り込み、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)は、同線を割り込んでいないものの、接近しつつあります。今週、日米の金融政策会合が波乱なく終了し、決算で業績の底堅さや、米指標で労働市場の減速傾向が確認されれば、日米とも株価の反転上昇が期待されます。ただ、実際にその流れになるか否かは、金融政策、企業決算、経済指標、それぞれの見極めが必要になります。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

 

(2023年10月30日)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会