2023年FOMCメンバーの金融政策スタンス
2023年FOMCメンバーの金融政策スタンス
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- 金融政策を議論し決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を保有する。
- 今年投票権を持つ12名のメンバーのうち、理事3名と地区連銀総裁2名は就任からまだ日が浅い。
- 今後、利上げペースなどに関する投票権を持つメンバーの発言、特にタカ派メンバーの発言に注目。
金融政策を議論し決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を保有する
米国の連邦準備制度(The Federal Reserve System)は、1913年の連邦準備法によって設立された中央銀行制度です。その最高意思決定機関が、ワシントンにある連邦準備制度理事会(The Board of Governors of the Federal Reserve System)で、一般的にFRB(The Federal Reserve Board)という略称で呼ばれています。FRBは連邦政府の1機関であり、7名の理事(うち議長1名、副議長1名、規制担当副議長1名)で構成されています。
FRBは、その下に12の地区連邦準備銀行(地区連銀)を抱え、業務に関する広範な監督権限を付与されています。なお、金融政策の決定に関する議論は、連邦公開市場委員会(FOMC)で行われ、7名の理事と5名の地区連銀総裁が投票権を持ちます。理事とニューヨーク地区連銀総裁は、常に投票権を持つ常任メンバーですが、4名の地区連銀総裁は、輪番制により1年の任期となります。
今年投票権を持つ12名のメンバーのうち、理事3名と地区連銀総裁2名は就任からまだ日が浅い
つまり、投票権を持つ5名の地区連銀総裁のうち、ニューヨーク地区連銀総裁を除いて、4名が毎年入れ替わることになります。2022年は、クリーブランド、ボストン、セントルイス、カンザスシティの各地区連銀総裁がメンバーでした。2023年は、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリスの各地区連銀総裁が、新たに投票権を持つメンバーとなります。
2023年のFOMCで投票権を持つメンバーについて、最近の発言などを踏まえ、金融政策のスタンスを、ハト派(景気重視)、中立、タカ派(物価重視)の3つに区分したものが図表1です。なお、12名のうち、理事のバー氏、クック氏、ジェファーソン氏、シカゴ地区連銀総裁のグールズビー氏、ダラス地区連銀総裁のローガン氏の5名は、就任からまだ日が浅く(図表2)、政策スタンスの判断材料は、これから増えてくると思われます。
今後、利上げペースなどに関する投票権を持つメンバーの発言、特にタカ派メンバーの発言に注目
なお、FOMCメンバーが適切と考えるフェデラルファンド(FF)金利水準の分布図(ドットチャート)をみると、2023年末は4.875%が2名、5.125%が10名、5.375%が5名、5.625%が2名でした(2023年12月14日時点、投票権を持たないメンバーを含む19名)。FF金利の誘導目標は現在4.25%~4.50%(中央値4.375%)ですので、メンバー全員、年内は利上げ継続が適切との見解で一致しています。
ただ、これも、今後発表される雇用や物価に関する経済指標次第で、変化する公算は大きいと考えます。市場では引き続き、米利上げペースや利上げの終了時期、また将来的な利下げ開始時期への関心が高く、その手掛かりとして、2023年のFOMCで投票権を持つメンバーの発言が注目されます。特にタカ派とされるメンバーの発言については、タカ派度合いの変化を見極めることが重要です。
(2023年1月12日)
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