年明け早々に一時129円台をつけたドル円相場の行方

2023/01/04

年明け早々に一時129円台をつけたドル円相場の行方

    • 129円台のドル安・円高は、おおむね想定の範囲内、この先はやはり日米金融政策がカギを握る。
    • FRBは今年3月まで2回の利上げを経て来年は利下げへ、一方日銀は緩和修正を進めると予想。
    • 年前半に日銀緩和修正、年後半にFRB利下げの思惑が強まれば、年末120円も違和感はない。

129円台のドル安・円高は、おおむね想定の範囲内、この先はやはり日米金融政策がカギを握る

ドル円は2023年1月3日の外国為替市場で、一時1ドル=129円51銭水準までドル安・円高が進行しました。ドル円が129円台をつけたのは、2022年6月上旬以来、7カ月ぶりのことです。市場では、日銀が先月、長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)における10年国債利回りの許容変動幅を拡大したことで、今後も金融緩和の修正が進むとの見方が強まっており、これが円買いにつながったと思われます。

2022年12月26日付レポート「2023年のドル円相場見通し」で解説した通り、弊社は2023年1-3月期のドル円相場について、期中レンジを121円~139円、期末の着地を130円と予想しています。そのため、ドル円が新年早々に129円台をつけたことも、おおむね想定内の動きといえますが、ここから先のドル円相場の方向性は、やはり日米の金融政策がカギを握るとみています。

FRBは今年3月まで2回の利上げを経て来年は利下げへ、一方日銀は緩和修正を進めると予想

そこで、改めて日米金融政策について、弊社の見方を整理します(図表1)。まず、米連邦準備制度理事会(FRB)は、2023年2月1日と3月22日に、それぞれ25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを決定し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が4.75%~5.00%に達したところで、年内は据え置きを予想しています。その後、2024年には毎四半期25bpの利下げを進めるとみています。

次に、日銀の金融政策について、弊社は段階的に金融緩和が修正されていくと考えています。具体的には、2023年4月に政府と日銀が定めたアコード(共同声明)の見直しが行われ、2%の物価上昇目標の柔軟化が図られた後、現行政策の点検あるいは検証を経て、6月にマイナス金利の解除に踏み切ると予想しています。なお、YCCは継続され、許容変動幅の上下0.5%も維持される公算が大きいと見込んでいます。

年前半に日銀緩和修正、年後半にFRB利下げの思惑が強まれば、年末120円も違和感はない

弊社の日米金融政策の見通しを踏まえると、2023年のドル円は、やはりドル安・円高方向に振れやすい展開が予想されます。ただ、前述の通り、FRBがFF金利の誘導目標を4.75%~5.00%で年内据え置き、日銀がマイナス金利解除後もYCCを維持するのであれば、大幅なドル安・円高は回避されると思われ、実際、弊社は2023年12月末の着地を129円とみています。

なお、先月の変動幅拡大後も、日本国債のイールドカーブ(利回り曲線)のゆがみは解消されていないため(図表2)、年前半は特に日銀の緩和修正の思惑から、円高が進みやすい地合いが想定されます。仮にこの先、130円よりもドル安・円高水準が定着し、年後半にFRBの利下げの思惑がかなり強まった場合、弊社の10-12月期予想レンジ(120円~138円)のドル下限である120円で2023年12月末を迎えても、さほど違和感はないと考えています。

 

 

(2023年1月4日)

市川レポート バックナンバーはこちら

https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ