2022年に日本株を大きく買い越している投資主体とは

2022/12/13

2022年に日本株を大きく買い越している投資主体とは

    • 投資部門別に年初からの日本株の売買状況を検証し、今年の相場に影響を与えた主体を探る。
    • 事業法人が年初から累計で4.7兆円買い越し、今年日本株を支えたのは自社株買いとみられる。
    • 海外勢の大きな売買差額は相場変動要因、ただ事業法人の安定した買いで株価は底堅く推移。

投資部門別に年初からの日本株の売買状況を検証し、今年の相場に影響を与えた主体を探る

今回のレポートでは、主要投資部門別に年初からの日本株の売買状況を検証し、相場に影響を与えた主体を探ります。具体的には、日本取引所グループが公表しているデータを用いて、「個人」、「海外投資家」、「投資信託」、「事業法人」、「信託銀行」、「自己(証券会社の自己勘定)」の6部門を対象とし、それぞれについて、現物および先物の売買代金(差額)を確認していきます。

現物は、東京証券取引所が公表している投資部門別売買状況のうち、東京・名古屋2市場の売買代金の差額合計です。先物は、大阪取引所が公表している投資部門別売買状況のうち、日経225先物、日経225mini、TOPIX先物、ミニTOPIX先物の売買代金の差額合計です。検証期間は、2022年1月第1週(1月4日~7日)から11月第5週(11月28日~12月2日)です。

事業法人が年初から累計で4.7兆円買い越し、今年日本株を支えたのは自社株買いとみられる

まず、現物について、検証期間の累計で買い越しとなったのは、事業法人で約4兆6,800億円、個人で約7,400億円でした。一方、売り越しとなったのは、海外投資家で約2兆900億円、自己で約9,400億円、投資信託で約3,500億円、信託銀行で約900億円でした。事業法人の買い越しは、主に自社株買いと推測され、海外投資家の売りを吸収した格好となっています。

次に、先物について、検証期間の累計で買い越しとなったのは、自己で約1兆2,500億円、信託銀行で約9,800億円、個人で約500億円、事業法人で約200億円でした。一方、売り越しとなったのは、海外投資家で約1兆5,600億円、投資信託で約3,500億円でした。現物と先物を合わせても(図表1)、2022年の日本株を支えた投資主体は事業法人であり、とりわけ自社株買いによるところが大きいと考えられます。

海外勢の大きな売買差額は相場変動要因、ただ事業法人の安定した買いで株価は底堅く推移

なお、6部門について、各週における現物と先物を合わせた売買差額の絶対値をとり、平均値を比較すると、海外投資家が約5,800億円、自己が約4,000億円、個人が約3,200億円、信託銀行が約2,100億円、投資信託が約1,600億円、事業法人が約1,000億円となります。このように、海外投資家は週間の売買差額が大きいため、海外投資家の取引が、短期的な需給変動要因となり、日本株に影響を及ぼす傾向もみられます(図表2)。

これに対し、事業法人は、週間の売買差額は相対的に小さいものの、現物を中心に安定した買い手となっており、相場を一定程度、支える役割を担っていると思われます。つまり、2022年の日本株は、海外投資家の売買で、一時的に値幅が拡大する場面もみられましたが、事業法人による安定的な自社株買いが相場を支える一因となり、欧米に比べ、総じて底堅く推移したと推測されます。

 

 

(2022年12月13日)

市川レポート バックナンバーはこちら

https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ