2022年11月米中間選挙の注目点を整理する

2022年11月米中間選挙の注目点を整理する

    • 現在民主党が上下両院で多数派だが直近の選挙予想で上院はほぼ互角、下院は共和党優勢。
    • 焦点は上院選の行方、ただ今回は実質的に激戦州のスイングステートが多い6~8州での戦いに。
    • 上下両院で共和党勝利なら、バイデン政権は内政で出来ることが限られ通商・外交を積極化か。

現在民主党が上下両院で多数派だが直近の選挙予想で上院はほぼ互角、下院は共和党優勢

11月8日に投開票が行われる米中間選挙では、上院の定数100議席のうち、3分の1の議席(今回は補欠選挙1議席を含めて35議席)が、下院の定数435議席の全議席が、改選されます。現在、上院では、民主党、共和党がともに50議席を有していますが、上院議長のハリス副大統領が1票を持つため、民主党が多数派です。一方、下院では、民主党が220議席、共和党が212議席を有しているため、民主党が上下両院で主導権を握っています。

中間選挙は、現職大統領の2年間の政策に対する「信任投票」の意味合いがあり、2年後の大統領選に向けて有権者の動きを探る上でも重視されます。ただ、一般に中間選挙では、政権与党に厳しい目が向けられ、大統領選で勝利した政党が議席を減らすケースも多くみられます。実際、直近の議席獲得予想では、上院がほぼ互角である一方、下院は共和党が優勢となっています(図表1)。そこで以下、今回の中間選挙の注目点を整理します。

焦点は上院選の行方、ただ今回は実質的に激戦州のスイングステートが多い6~8州での戦いに

最大の注目点は、民主党が上下両院で多数派を維持できるか否か、とみていますが、バイデン大統領の支持率は、コロナ禍のインフレ加速や、アフガニスタンからの米軍撤退の失策などで、依然低迷しており、前述の議席獲得予想などを踏まえると、下院の多数党は共和党となる可能性が高いと考えられます。したがって、今回は、上院選の行方が焦点になると思われます。

米主要メディアなどによる上院の議席獲得予想をみると、直近では民主党、共和党、いずれも過半数に満たない模様です。ただ、州によって民主党支持、共和党支持の傾向が明確なところも多いため、上院選は実質的に、選挙毎に勝利政党が変わりやすい「スイングステート」と呼ばれる激戦州(ネバダ、アリゾナ、ウィスコンシン、ジョージア、ペンシルベニア、ニューハンプシャーなどの6~8州)での戦いとなる見通しです。

上下両院で共和党勝利なら、バイデン政権は内政で出来ることが限られ通商・外交を積極化か

なお、スイングステートの動向は、2年後の大統領選にも大きな影響を与えると思われることから、今回、激戦州の上院選の結果は、次期大統領が民主党候補か共和党候補かに関する重要な手掛かりになると考えます。最後に、中間選挙後のバイデン政権の政策について、選挙結果のシナリオ別にまとめておきます(図表2)。具体的なシナリオは、①上院で民主党勝利、下院で共和党勝利、②上下両院で共和党勝利、の2つです。

①の場合、上院の人事承認権を用いた閣僚の指名や大統領令により、民主党色の強い規制強化(環境、ハイテク、金融など)の動きが予想され、②の場合、内政で出来ることが限られるため、通商・外交の積極化が予想されますが、バイデン大統領と共和党の折り合いがつく案件(例えば国防費増額など)は、話が進むとみられます。また、①、②、いずれの場合でも、対中外交政策のタカ派的な基本方針は変わらないと思われます。

 

 

(2022年10月27日)

市川レポート バックナンバーはこちら

https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会