2022年3月FOMC議事要旨のポイントを整理する

2022年3月FOMC議事要旨のポイントを整理する

  • 今回はバランスシート縮小の開始時期や、縮小ペースに関する追加情報の有無に注目が集まった。
  • 議事要旨では市場の想定通り、縮小開始は早ければ5月、縮小ペースは前回より速いことを確認。
  • 米金融政策正常化の材料はほぼ出尽くしたため今後の正常化が想定内なら市場の混乱は回避。

今回はバランスシート縮小の開始時期や、縮小ペースに関する追加情報の有無に注目が集まった

米連邦準備制度理事会(FRB)は4月6日、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(2022年3月15日、16日開催分)を公表しました。市場では今回、バランスシート縮小の開始時期や、縮小ペースに関する追加情報の有無に注目が集まっていました。バランスシート縮小については、これまで複数のFOMCメンバーから見解が示されていますので、まずはそれらを確認します。

はじめに、パウエル議長の発言を振り返ると、3月16日のFOMC後の記者会見において、早ければ次の5月のFOMCで、バランスシート縮小開始に移れるところまできていると述べました。また、縮小のペースは前回よりも速くなることを示唆し、3週間後に公表されるFOMC議事要旨(すなわち今回の議事要旨)で、より詳細な議論が提示されると発言しました。

議事要旨では市場の想定通り、縮小開始は早ければ5月、縮小ペースは前回より速いことを確認

次に、ブレイナード理事の発言をみると、4月5日の講演において、早ければ5月のFOMCで、急速なペースでのバランスシート縮小を開始する意向を明らかにしました。また、前回のバランスシート縮小よりも、かなり急速な縮小を想定していると述べました。これらの発言により、①バランスシートの縮小開始は早ければ5月、②縮小ペースは前回よりもかなり速い、という見方が市場に織り込まれました。

そして、今回の議事要旨で明らかになったことは、図表1の通りです。バランスシート縮小の開始時期について、参加者は早ければ5月のFOMCで開始するのが適切との見解を示し、また、縮小額の月間上限について、財務省証券を600億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を350億ドル(前回縮小時は順に300億ドル、200億ドル)とすることでおおむね合意するなど、内容はほぼ市場の想定通りでした。

米金融政策正常化の材料はほぼ出尽くしたため今後の正常化が想定内なら市場の混乱は回避

弊社では、バランスシート縮小について、5月のFOMCで実施が決定され、5月半ば、もしくは6月初めに縮小が始まり、縮小ペースは前回のほぼ倍の速さになることを想定していました(図表2)。つまり、大方の市場の見方と、ほぼ同様であったため、今回の議事要旨で示されたバランスシート縮小に関する追加情報に、特にサプライズはありませんでした。

なお、議事要旨では、インフレ圧力が続くか、強まれば、今後の会合で0.5%の利上げを1回かそれ以上、実施することが適切であると、多くの参加者が述べていたことも明らかになりました。ただ、この点も、市場には織り込み済みと思われます。今回の議事要旨をもって、米金融政策の正常化に関する材料は、ほぼ出尽くしたと考えられ、この先の正常化が想定内のものであれば、市場が混乱する恐れは小さいとみています。

 

(2022年4月7日)

 

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会