横浜市長選後の自民党総裁選を考える

横浜市長選後の自民党総裁選を考える

  • 横浜市長選では立憲民主党推薦の山中氏が、菅首相の支援する小此木氏に大差で勝利した。
  • 自民党総裁選は9月17日告示、29日投開票となる公算が大きく、複数候補が出馬する見通し。
  • 党内要人の菅首相支持表明で市場に政局不安はみられず、総裁交代でも与党の政策は継続。

横浜市長選では立憲民主党推薦の山中氏が、菅首相の支援する小此木氏に大差で勝利した

過去最多の8人が立候補した横浜市長選挙は、8月22日に投開票が行われ、立憲民主党が推薦した元横浜市立大学教授の山中竹春氏が、元国家公安委員長の小此木八郎氏、現職の林文子氏らを破り、初当選を果たしました。山中氏は、横浜市内に選挙区のある菅義偉首相が「全面的かつ全力で応援する」とした小此木氏に、およそ18万票の大差をつけて勝利しました。

菅首相の地元で、支援した候補が敗北したことを受け、自民党内には大きな衝撃が広がりました。自民党幹部からは、政府の新型コロナ対応への不満が批判票となって集中したことが敗因との声も聞かれています。一方、菅首相は8月23日、横浜市長選の結果について、「謙虚に受け止めたい」と述べ、自民党総裁選は時期が来れば出馬するという考え方に変わりはないと強調しました。

自民党総裁選は9月17日告示、29日投開票となる公算が大きく、複数候補が出馬する見通し

菅首相の自民党総裁としての任期は9月30日までとなっており、横浜市長選の結果を受け、自民党総裁選の行方に注目が集まっています。自民党は8月26日に党選挙管理委員会を開き、総裁選の日程を決める予定です。報道によれば、9月17日告示、29日投開票となる公算が大きく、党内には新たな選挙の顔を求める動きもあることから、複数の候補が総裁選に出馬する見通しです。

総裁選への立候補が予想される顔ぶれは図表1の通りです。高市前総務相と下村政務調査会長は出馬の意向を明らかにしていますが、高市氏は派閥に所属しておらず、下村氏は所属派閥(細田派)の幹部らが菅首相支持を表明しているため、国会議員20人の推薦を確保できるかが焦点となっています(図表2)。岸田前政務調査会長は、総裁選の日程が決まれば、正式な出馬表明に踏み切るとの見方も出ています。

党内要人の菅首相支持表明で市場に政局不安はみられず、総裁交代でも与党の政策は継続

閣僚では、河野規制改革相や、茂木外相の動向も注目されますが、現時点では、出馬よりも職務を優先する可能性が高いと思われます。なお、二階幹事長、安倍前首相、麻生副総理・財務相は、次の総裁選で菅首相支持の意向を示しており、菅首相には追い風となっています。ただ、実際の総裁選まで3氏の意向に変化がないか、今後の発言には注意しておく必要があります。

横浜市長選の結果を受けた週明けの8月23日、日経平均株価は大きく上昇し、政局に対する不安はほとんどみられませんでした。背景には、前述の通り、自民党内の要人が菅首相支持の立場であることから、総裁選に波乱はないとの見方があるように思われます。また、仮に総裁交代となっても、緩和的な金融政策と拡張的な財政政策という現行の基本方針は継続され、市場への影響も限定されるとみています。

 

 

 

(2021年8月24日)

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