日経平均構成銘柄の動きを検証する(製造業編)
日経平均構成銘柄の動きを検証する(製造業編)
- 日経平均構成銘柄のうち製造業133銘柄を3分類し、業種毎に昨年末からの株価動向を検証。
- 素材は全体にコロナの影響が大きく、加工組立はPCや5G向け部品需要が追い風となった銘柄も。
- その他製造では巣ごもり需要の恩恵も、生活様式の変化が、製造業の株価の明暗を分けた格好。
日経平均構成銘柄のうち製造業133銘柄を3分類し、業種毎に昨年末からの株価動向を検証
今回のレポートでは、日経平均株価を構成する225銘柄のうち、製造業に分類される133銘柄について、2019年12月30日から2020年10月9日までの騰落率を検証します。製造業は、素材、加工組立、その他製造に3分類し、東証33業種分類に基づく業種を振り分けました。素材には、繊維製品、パルプ・紙、化学、石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品の9業種を含めました。
加工組立には、機械、電気機器、輸送用機器、精密機器の4業種を振り分け、その他製造には、食料品、医薬品、その他製品の3業種を含めました。それぞれの業種について、業種内で相対的にパフォーマンスの良い銘柄の順にまとめたものが図表1です。素材、加工組立、その他製造の3分類でみると、素材の苦戦が目立ちますが、以下、少し詳しくみていきます。
素材は全体にコロナの影響が大きく、加工組立はPCや5G向け部品需要が追い風となった銘柄も
まず、素材については、コロナによる景気悪化が大きく響きました。パルプ・紙、石油・石炭製品、ゴム製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品の各業種に属する銘柄は、全て株価が下落しています。具体的な影響としては、在宅勤務でのペーパレス化(パルプ・紙)、石油製品需要の減退(石油・石炭製品)、自動車販売減によるタイヤ需要減(ゴム製品)、生産活動の低迷(鉄鋼、非鉄金属)、建材需要の減少(金属製品)などが考えられます。
ただ、素材の中でも、化学などに属する銘柄のうち、半導体関連は相対的にパフォーマンスが好調です。次に、加工組立について、輸送用機器は総じてコロナ渦での自動車販売急減が響きました。一方、機械は、中国での需要回復期待や、巣ごもり消費によるエアコン需要増などが追い風となった銘柄も目立ちました。また、電気機器ではPC需要や5G向け部品需要の堅調さが、精密機器では医療関連需要の底堅さが、一部銘柄の株価を支えました。
その他製造では巣ごもり需要の恩恵も、生活様式の変化が、製造業の株価の明暗を分けた格好
その他製造については、食料品に属する銘柄のうち、巣ごもり消費による冷凍食品需要増の恩恵を受けた先もみられましたが、コロナ禍での宴会自粛などにより、ビール販売減少が響いたところもみられました。医薬品に属する銘柄では、コロナ治療薬への期待が買い材料となった銘柄もあり、また、その他製品に属する銘柄では、ゲーム関連の巣ごもり消費がプラス材料となった先もありました。
このように、コロナの影響を強く受けやすいと考えられる製造業ですが、分類や業種で区分して、個別銘柄の動きに目を向けると、投資家による選別が進んでいることが分かります。全体としては、やはり、コロナ禍での生活様式の変化が、製造業の株価の明暗を分けた格好になっていますが、まもなく本格化する中間決算では、出遅れの目立つ素材について、業績の回復度合いを確認することも、1つの注目ポイントと思われます。
(2020年10月16日)
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