19年10月の重要イベントと日本株へのインプリケーション
市川レポート 19年10月の重要イベントと日本株へのインプリケーション
- 米中協議は進展なくとも対立長期化は織り込み済み、また英国の合意なきEU離脱の公算も小。
- 各国景況感の改善度合いに注目、FRBは追加緩和、日銀はマイナス金利深掘り見送りを予想。
- 本邦中間決算の業績下方修正は織り込み済み、ただし10月はいったん株高の速度調整リスクも。
米中協議は進展なくとも対立長期化は織り込み済み、また英国の合意なきEU離脱の公算も小
今回のレポートでは、10月の重要イベントを整理し、それぞれの見通しと日本株への影響について考えます。まず政治面では、10月第2週に閣僚級の米中貿易協議が開催される予定です。協議の行方は予断を許さない状況ですが、少しでも前進すれば、株式市場は素直に好感すると思われます。進展がなければ、日本株への売り圧力は強まるものの、米中の対立長期化はすでに織り込み済みで、下値は限定的とみています。
英国では、10月19日までに、英議会が欧州連合(EU)との離脱協定を承認できるか否かに注目が集まります。弊社では、アイルランド国境問題を残したまま離脱協定が承認され、11月1日に離脱する確率が50%、離脱協定が承認されず、ジョンソン首相が10月31日の離脱期限延期をEUに申請し、EUが承認する確率が30%と予想しています。合意なき離脱の確率は20%で、市場が混乱する可能性は相対的に低いと考えます。
各国景況感の改善度合いに注目、FRBは追加緩和、日銀はマイナス金利深掘り見送りを予想
経済面では、5月以降、すでに主要17カ国・地域が金融緩和を実施し、また、中国などアジア諸国が財政拡大の動きを活発化させていることから、各国の景況感の改善度合いが注目されます。10月1日には、9月のグローバル製造業PMIが発表される予定です。8月は依然50を下回る水準でしたが、7月からは改善しました。9月も改善傾向が続けば、景況感の底打ち期待が高まり、日本株にも好材料になると思われます。
金融政策面では、10月29日、30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。弊社は0.25%の追加利下げを見込んでいますが、これ以降、想定以上の米経済指標の悪化や米中対立のエスカレートがなければ、利下げはいったん打ち止めを予想します。また、10月30日、31日の日銀の金融政策決定会合では、経済・物価動向の点検が行われます。足元程度の市場環境が続けば、マイナス金利の深掘りを急ぐ必要はなく、追加緩和を行うとしても、フォワードガイダンスの変更にとどまると想定しています。
本邦中間決算の業績下方修正は織り込み済み、ただし10月はいったん株高の速度調整リスクも
日米の金融政策では、過度にハト派的ではなくても、一定程度、追加緩和への期待が残るメッセージが発信されれば、株式市場は比較的落ち着いた反応を示すことが予想されます。また、すでに金融緩和を行っているオーストラリア、インド、インドネシア、トルコ、ブラジルでも政策決定会合が予定されています。少なくとも緩和的な政策スタンスの維持が確認できれば、株価の下支えになると考えています。
業績面では、10月下旬から本邦3月期決算企業の中間決算が始まります。今回の中間決算では、通期業績予想を下方修正する企業が増える見通しですが、市場では大方織り込み済みと思われます。そのため、悪材料出尽くしという見方が強まれば、来年度の業績回復への期待は高まりやすくなります。なお、日本株は9月に大きく上昇したため、月替わりの10月でいったんスピード調整となる可能性もあります。その場合、200日移動平均線が位置する21,200円近辺がサポート水準として意識されるとみています。
(2019年9月27日)
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