SQ算出を控えた今週の日本株

 

市川レポート SQ算出を控えた今週の日本株

  • 先物とオプションの清算が重なるメジャーSQを控え、株価は今週一時的に大きく動く可能性がある。
  • コールオプションの売り手によるデルタヘッジなどで、日経平均は21,000円台で上昇加速の場面も。
  • ただ株価水準次第で上昇加速は抑制、SQ前の変動は、必ずしも基調的な相場の強弱を示さず。

先物とオプションの清算が重なるメジャーSQを控え、株価は今週一時的に大きく動く可能性がある

今週は9月13日に、株価指数先物とオプションの9月物が特別清算指数(SQ)算出を迎えます。今回は先物とオプションの清算が重なる「メジャーSQ」です。一般に、メジャーSQのある週は、清算価格を巡る思惑的な売買が出やすく、また先物やオプションの取引主体が、限られた時間で取引判断を迫られるため、株価が一時的に大きく変動することがあります。

そこで、直近の日経225オプションの取引動向を踏まえ、日経平均株価の方向性について考えてみます。具体的に、9月物コールオプションをみると、建玉(たてぎょく、未決済残高のこと)は、行使価格21,000円、21,500円、22,000円で、比較的大きく積み上がっていることが分かります(図表1)。そのため、日経平均株価は、これらの水準を超えると、上昇ペースが一段と加速する可能性が高まります。

コールオプションの売り手によるデルタヘッジなどで、日経平均は21,000円台で上昇加速の場面も

例えば、日経平均株価が21,000円を超えて上昇した場合、行使価格21,000円のコールオプションの買い手には利益が発生しますが、売り手には損失が発生します。この時、売り手はコールオプションを買い戻そうとしても、すでにコールオプションの価格は急騰しており、買い戻しは難しい状況です。そこで、売り手は別途、日経225先物を購入し、「デルタヘッジ」を行います。

これにより、日経平均株価の上昇で先物の買いポジションに評価益が発生すれば、コールオプションの売りポジションの評価損を補填できます。また、デルタヘッジに絡む先物買いで、先物が現物に対し、一時的に割高になると、裁定業者(主に証券会社)が、先物を売って同時に現物を買う「裁定買い取引」を行うため、現物である日経平均株価の上昇ペースは一段と加速しやすくなります。先週の日経平均株価の21,000円台回復は、このような取引も背景にあったと考えられます。

ただ株価水準次第で上昇加速は抑制、SQ前の変動は、必ずしも基調的な相場の強弱を示さず

一方、今週の日経平均株価が、21,000円台前半でこう着感を強める展開となれば、先程の例で挙げた、行使価格21,000円の9月物コールオプションは、建玉の整理がゆっくりと進む公算が大きくなります(図表2)。この場合、コールオプションの売り手は、デルタヘッジの判断を急いで行う必要がないため、日経平均株価の上昇ペースが加速する動きは抑制されます。

今回は、日経225オプションの具体的な取引に基づき、日経平均株価の方向性について考えました。レポートで紹介したのは、1つの事例に過ぎませんが、メジャーSQを前に、日経平均株価が先物やオプション主導で大きく上下するのは、めずらしいことではありません。ただ、SQ前の変動は、ポジション調整に伴う一時的なものであり、必ずしも基調的な相場の強さや弱さを示すものではありません。

(2019年9月9日)

 

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会