19年7月FOMCプレビュー

 

市川レポート 19年7月FOMCプレビュー

  • 7月は0.25%の利下げを予想、次の一手を探りFOMC声明やパウエル発言が一層注目されよう。
  • FOMC声明は引き続きハト派的な印象を与える内容となり、パウエル発言もハト派的と予想される。
  • 想定通りなら市場への影響は限定的、弊社は9月も0.25%の利下げとその後の据え置きを予想。

7月は0.25%の利下げを予想、次の一手を探りFOMC声明やパウエル発言が一層注目されよう

米連邦準備制度理事会(FRB)は、7月30日、31日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催します。今回のFOMCでの利下げは完全に織り込まれており、7月26日時点のフェデラルファンド(FF)金利先物市場では、0.25%の利下げ確率は8割強、0.50%の利下げ確率は2割弱となっています。弊社は、7月の利下げは予防的な意味合いから、0.25%にとどまると予想しています。

なお、市場参加者の関心は、すでに次の利下げ時期に移っていると思われます。ただ、7月のFOMCは、手掛かりとなる材料が少なく、FOMCメンバーによる経済見通しや、FOMCメンバーが適切と考える政策金利水準の分布図(ドットチャート)の公表もありません。そのため、FOMC声明の文言や、パウエル議長の記者会見における発言は、いつも以上に注目が集まると考えられます。

FOMC声明は引き続きハト派的な印象を与える内容となり、パウエル発言もハト派的と予想される

前回6月のFOMC声明では、これまで用いられていた、政策判断について「辛抱強くなる」との表現が削除されました。それと同時に、経済見通しの「不確実性が強まった」ため、「適切に行動する」との表現が新たに追記されました(図表1)。今回のFOMC声明でも、これらの新たに追記された表現は維持され、引き続きハト派的な印象を与える内容になるとみています。

パウエル議長はFOMC後に記者会見を行いますが、7月10日の米下院金融委員会における議会証言で、「6月FOMC以降のデータや事象に基づけば、貿易の緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに関する懸念が、引き続き米国経済の見通しに重しとなっている」、インフレは「依然として抑制されている」と述べています。記者会見でも、おおむねこの見解に沿った、ハト派的なコメントが予想されます。

想定通りなら市場への影響は限定的、弊社は9月も0.25%の利下げとその後の据え置きを予想

今回のFOMCで、利下げ幅が0.25%にとどまり、FOMC声明やパウエル議長のコメントがハト派的であれば、米長期金利や米ドル、米国株への影響は限定的と考えます。なお、7月26日時点のFF金利先物市場では、0.25%の利下げについて、2019年に2.6回、2020年に1.4回の実施が織り込まれています(図表2)。予防的な利下げにしてはやや行き過ぎで、弊社は9月に0.25%の追加利下げが行われ、その後は据え置きを見込んでいます。

今後、米中貿易協議が進展し、米国経済の成長継続が確認されれば、米経済見通しに対する不確実性が大きく後退し、FF金利先物市場での利下げの織り込みは解消に向かうと思われます。この時、米長期金利、米ドル、米国株は、基本的にいずれも上昇が予想されます。ただし、織り込みの解消が短期間で一気に進んだ場合、米長期金利と米ドルが急騰し、米国株の動きが不安定になることも考えられるため、注意が必要です。

(2019年7月29日)

 

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