日経平均株価22,000円台回復後の展開

 

市川レポート 日経平均株価22,000円台回復後の展開

  • 日経平均は4月15日の寄り付きで200日移動平均線を突破したが、出遅れ感はまだ強い状況。
  • 株価上昇の主因は米株高や中国景気の懸念後退、海外投資家による日本株の買い越し転換。
  • 先物主導で一段高なら上値追いはリスクに、ただ長い目でみれば慎重に水準を切り上げる展開へ。

日経平均は4月15日の寄り付きで200日移動平均線を突破したが、出遅れ感はまだ強い状況

日経平均株価は4月12日、21,870円56銭で取引を終え、200日移動平均線が同日に位置していた21,888円22銭の水準に近づきました。200日移動平均線は、日経平均株価にとって比較的強めの抵抗線(レジスタンス)になっており、2018年10月以降、何度か日経平均株価の反発をおさえてきた経緯があります(図表1)。こうしたなか、日経平均株価は週明け4月15日、22,122円97銭で寄り付き、200日移動平均線を突破しました。

なお、海外に目を向けると、ダウ工業株30種平均や上海総合指数は、すでに200日移動平均線を上抜けています。また、欧州についても、製造業の景況感の悪化が続くドイツの株式指数(DAX)や、欧州連合(EU)からの離脱問題で揺れる英国のFTSE100種総合株価指数でさえ、200日移動平均線を上抜けています。そのため、グローバルな視点に立てば、日本株はまだ出遅れ感が強いということができます。

株価上昇の主因は米株高や中国景気の懸念後退、海外投資家による日本株の買い越し転換

週明けの日経平均株価が上昇した主な理由として、①米銀行大手JPモルガン・チェースが4月12日に発表した1-3月期決算が市場予想を上回る良好な内容となり、同日の米国株が上昇したこと、②4月12日に発表された3月分の中国経済指標において、輸出額や新規融資額の伸びが市場予想を上回り、中国景気に対する懸念が和らいだこと、などが挙げられます。

また、ここにきて海外投資家の動きにも変化の兆しがうかがえます。東京証券取引所が4月11日に発表した4月第1週(1日~5日)の投資部門別売買状況をみると、海外投資家は日本株を6,228億円買い越しました(図表2)。現物を取引するこれらの海外投資家は、中長期的な視点で運用を行う年金などが含まれますが、今回、1月第4週以来の買い越しとなったことで、他の投資主体にも日本株の買い安心感が広がったと推測されます。

先物主導で一段高なら上値追いはリスクに、ただ長い目でみれば慎重に水準を切り上げる展開へ

ただ、22,000円台回復後の日経平均株価の上昇が、先物主導によるものとなった場合、国内10連休前には、先物の買い持ちを手仕舞う動きも想定されることから、上値追いには相応のリスクを伴うとみています。日経平均株価が200日移動平均線を明確に上抜け、上昇基調をより強めるためには、世界景気の悲観論が一段と後退し、国内企業の業績見通しで、ある程度前向きな姿勢が示されることが必要と思われます。

そのため、引き続き米中経済指標の持ち直し度合いを確認し、また、4月下旬から本格化する国内企業の3月期決算発表で、2019年度の通期業績見通しの内容を見極めることが重要と考えます。新年度入り後の日本株については、しばらく上値の重い展開が予想されるものの、やや長い目でみれば振れ幅を伴いつつ下値を徐々に固め、慎重ながらも水準を切り上げて行く展開を引き続き予想しています。

(2019年04月15日)

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