国内企業の業績見通しを更新(19年3月)

 

市川レポート(No.649)国内企業の業績見通しを更新(19年3月)

  • 主要企業の2018年度と2019年度の業績見通しを下方修正、ただし引き続き増収増益を予想。
  • 2019年度の経常利益について増額修正は30セクター中5セクターだが減額修正は25セクターに。
  • 企業自身も2019年度業績予想を4月下旬以降公表、控えめな内容でも市場は織り込み済み。

主要企業の2018年度と2019年度の業績見通しを下方修正、ただし引き続き増収増益を予想

弊社は3月7日、調査対象とする主要企業227社の業績見通しを更新しました。2018年度は、売上高が448.5兆円、経常利益が39.1兆円、純利益が27.4兆円の着地を予想しています(図表1)。前年度比の伸び率は、順に+5.3%、+6.7%、+1.0%です。前回12月6日時点の見通しでは、+6.0%、+10.6%、+2.1%でしたので、今回はいずれも下方修正となりますが、引き続き増収増益が見込まれます。

また、2019年度は、売上高が457.8兆円、経常利益が41.8兆円、純利益が27.5兆円の着地を予想しています。前年度比の伸び率は、順に+2.1%、+6.9%、+0.5%です。前回は、+2.6%、+8.1%、+4.3%でしたので、2019年度も下方修正となりますが、増収増益は続くとみています。なお、2019年度の前提為替レートは、ドル円が1ドル=110円、ユーロ円が1ユーロ=125円で、前回と同じです。

2019年度の経常利益について増額修正は30セクター中5セクターだが減額修正は25セクターに

2019年度の経常利益は、前回12月6日時点の見通しから、約2兆円の下方修正となりました。弊社は主要企業227社を30セクターに分類していますが、このうち経常利益の増額修正は5セクターにとどまった一方、減額修正は25セクターに達しました。増額修正の5セクターは、パルプ市況の回復などを想定した「紙・パルプ・ガラス・土石製品」のほか、「通信」、「ゲーム」、「建設」、「サービス」です。

減額修正の25セクターは、「商社」、「電子部品」、「非鉄・電線」、「自動車」、「食品」などです。商社は2019年度の前提原油価格(WTI原油先物価格)を前回の1バレル60ドルから53ドルに引き下げたこと、電子部品はスマートフォン(スマホ)需要の見通しを引き下げたことが、それぞれ減額修正の主因です。また、非鉄・電線の減額修正は、非鉄市況の低迷を想定したことによるものです。

企業自身も2019年度業績予想を4月下旬以降公表、控えめな内容でも市場は織り込み済み

製造業(132社)と非製造業(95社)に分けてみると、製造業の売上高、経常利益、純利益の前年度比伸び率は、2018年度が順に+3.5%、+0.8%、-3.4%、2019年度は+1.7%、+8.3%、-0.7%の着地を見込んでおり、純利益は減益となる見通しです。一方、非製造業は同様に、2018年度が+8.1%、+15.9%、+8.4%、2019年度は+2.6%、+5.0%、+2.4%となり、増収増益は維持されるという予想です。

弊社の業績見通しも、中国の景気減速やスマホ需要の減退などの影響を大きく受ける結果となりました。なお、3月期決算企業の2019年度の通期業績予想は、2018年度の本決算が発表される4月下旬頃から5月上旬頃にかけて明らかになりますが、総じて控えめな内容になることが推測されます。しかしながら、すでにその点は市場に織り込み済みであり、実際に控え目な業績予想が示されても、改めて日本株への売り圧力が強まる恐れは小さいとみています。

(2019年3月18日)

 

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