FRB、利下げ見通しを維持
― 今回のFOMCのポイント ―
- 5会合連続で政策金利を据え置き
- 量的引締め(QT)を近く減速する方針
- 年内3回の利下げ見通しを維持
- 2024年の経済成長率、インフレ見通しは引き上げ
▣ 5会合連続で政策金利を据え置き、量的引き締め(QT)を近く減速する方針
米連邦準備理事会(FRB)は3月19、20日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.5%に据え置くことを決めました。据え置きは5会合連続になります。
会合後の記者会見でパウエルFRB議長は、「不適切で早すぎる利下げをやって、また利上げをするようなことにならないように、最初の利下げの決断は慎重にする必要がある」と述べるとともに、「インフレ率の見通しを上方修正したメンバーがいるが、あくまでインフレ率は順調に低下している」としています。また、「今後のデータ次第だが、この見通しを達成できると現時点ではみている」と、物価目標の達成に自信を示しました。
また、新型コロナウイルス禍への対応で大量に購入した米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の保有額を圧縮する量的引締め(QT)を近く減速する方針を固めました。
この会合では、2024年のコアのインフレ率や経済成長率見通しは引き上げられたものの、政策金利見通しが据え置かれ、3回の利下げ見通しとなったことから、利下げ開始が一段と後ずれし、利下げ回数が減るのではないかとの懸念が後退しました。
▣ インフレ見通しを引き下げ
合わせて公表した米国経済見通しでは、2024年10-12月期の米国内総生産(GDP)の成長率を前年同期比2.1%と前回の1.4%から引き上げました(図表1)。2025年、2026年も若干引き上げました。
FRBが重視する物価指標である個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率は、前回とほぼ変わらなかったものの、エネルギー・食品を除くコア指数の上昇率は、2024年が2.6%と、前回の2.4%から引き上がりました。
▣ 2024年の政策金利見通しは変わらず
注目されたFOMC参加者の政策金利見通しは、2024年末の中央値は4.625%と、前回から変わりませんでした(図表2)。1回あたりの利下げ幅を0.25%とすると、現在の5.25~5.5%から3回引き下げられ、今年12月には4.50~4.75%になる見通しです。
FOMC参加者の政策金利見通しに基づくと、6月に利下げを開始し、その後は9月、12月に利下げするのがメインシナリオになりそうです。
市場では、一時6回程度まで織り込まれた今年の利下げ回数が、3回程度とFOMC参加者の見通しに収斂してきています。
今後の経済データ次第ですが、利下げ開始時期が一段と後ずれする、あるいは利下げ回数が2回に減ってしまうとの思わくが広がると、金融市場が不安定な動きになる可能性があり注意が必要です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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