FRB、利上げ一旦停止も、継続を示唆
― 今回のFOMCのポイント ―
- 事前の予想通りの利上げ見送り
- FOMC参加者の政策金利見通しは、年内2回の利上げ
- 7月の会合での利上げ打ち止め観測はやや後退
- ただ、市場はまだ年内1回利上げの織り込みで、FOMC参加者の見通しと乖離
▣ 予想通りの利上げ見送り
米連邦準備理事会(FRB)は6月13、14日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置き、昨年3月から続いていた利上げが止まりました。
利上げを見送ったことについてパウエル議長は、銀行破綻の影響などもまだ完全に把握できておらず、一旦利上げを見送ることで、多くの情報を点検し、再利上げの必要性を判断するのが狙いとしています。
▣ インフレ見通しを引き上げ
合わせて公表した米国経済の見通しでは、2023年10~12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比1.0%増と、3月時点の0.4%増から上方修正しました(図表1)。
価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた個人消費支出(PCE)物価指数は前年同期比の上昇率を3.9%と、3月時点の3.6%から引き上げました。
▣ 年内2回の利上げ見通し
注目されたFOMC参加者の政策金利見通しは、2023年末の中央値は5.625%と、3月時点の5.125%から大きく引き上がりました(図表2)。年内にあと2回、利上げを実施する見通しです。2024年末、2025年末についても、見通しの水準が引き上がりました。また、年内の利下げを主張した参加者はいなかった模様です。
市場では今回は利上げ見送り、7月の会合で利上げして、利上げが終了との見方が大勢でした。年内あと2回の利上げ見通しはサプライズでしたが、大きな混乱はありませんでした。
市場が織り込む今後の政策金利の水準は徐々に引き上がってきてはいますが、まだ、7月の会合で利上げし、その後は政策金利の水準を維持するとの見方です(図表3)。
市場とFOMCとでは政策金利見通しに乖離が残る状況で、市場が今後、さらなる利上げを織り込みに行くかが注目されます。
米金融政策についてはデータ次第であり、雇用統計や物価指標を確認しながら、引き続き利上げの有無を占っていくことになります。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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