IMF世界経済見通しメモ(2023年1月)

2023/02/01

▣ 2023年の世界の成長率を0.2%ポイント引き上げ

国際通貨基金(IMF)は1月31日、最新の経済見通しを発表しました。世界経済成長率は2022年の3.4%(推計値)から、2023年に2.9%へ鈍化した後、2024年は3.1%に加速する見込みです。

中国の経済再開や、インフレ圧力が和らぎ始める中、世界の金融環境も改善したことなどから、2023年については昨年10月の見通しから0.2%ポイント引き上げられました。2023年の上方修正は1年ぶりになります。とはいえ、物価上昇に対処するための中央銀行による利上げや、ウクライナ戦争が引き続き重しになると指摘しています(世界および主要国の見通しは図表1、2を参照)。

また、世界経済見通しに対するリスクは依然として下振れ方向に傾いているものの、昨年10 月の世界経済見通し以降、マイナスリスクは和らいでいるとしています。

▣ 日本は2023年は加速も、2024年は減速

米国の2023年の成長率は、2022年の内需の底堅さの持ち越し効果を反映して0.4%ポイント上方修正されましたが、2024年の成長率は、急激な利上げにより、2023年に政策金利が約5.1%のピークに達する見通しであることを受けて0.2%ポイント下方修正されました。

ユーロ圏は、金融引締めやエネルギーの輸入価格上昇による交易条件の悪化から厳しい状況ですが、エネルギー価格統制や現金給付などの財政支援が寄与し、2023年の成長率見通しが0.2%ポイント引き上げられました。

中国については、2022年は新型コロナウイルスの感染拡大などが要因で経済活動が抑制されたものの、経済が再開したことで、2023年の成長率は5.2%に回復する見通しです。また、インドと中国を合わせると、2023年の世界経済の成長の半分を占めるとしています。

日本については、金融・財政政策の継続的な支援によって、2023年の成長率は1.8%まで加速する見通しです。また、円安による企業利益の増加や当初の事業計画の後ずれが、企業投資を後押しするだろうとしています。ただ、2024年には、景気刺激策の効果がなくなっていくことから、成長率が0.9%に減速する見込みです。

▣ インフレ率は徐々に減速

世界のインフレ率は、世界的な需要の低迷による燃料・非燃料の国際商品価格の下落や、金融引締めなどにより、2022 年の8.8%(年間平均)から、2023 年に6.6%へ、2024 年に4.3%へ鈍化する見込みです。

先進国では、年間平均インフレ率が2022 年の7.3%から2023 年には4.6%、2024 年には2.6%に低下すると予測されています。

▣ 下振れ、上振れリスク

下振れリスクとしては、

  • 新型コロナ感染の波による予想を超える経済的混乱や、不動産部門の急激な減速などにより、中国の回復が失速する可能性
  • ウクライナでの戦争激化がエネルギー市場や食料市場を不安定にし、世界経済をさらに分断化する可能性
  • インフレが長期化し、金融政策を一段と引き締める可能性

一方、上振れリスクとして、

  • サプライチェーン(供給網)のボトルネック(制約)が和らぐほか、求人率の低下に伴い労働市場が落ち着くことで、想定よりもソフトランディング(経済の軟着陸)となり、金融引締めの程度を抑えられる可能性

などを挙げています。

 

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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