日銀は実質的な利上げを決定
▣ 強力な金融緩和を修正
日銀は12月19、20日に開いた金融政策決定会合で、これまで堅持してきた強力な金融緩和を一部修正しました。
主な決定事項は以下のとおりです。
- 日銀が誘導する長期金利(10年物国債金利)の変動幅をゼロ±0.25%程度からゼロ±0.50%程度に拡大(長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度に引き上げ)
- 金利の急激な上昇を抑えるため、長期国債の購入額を月額7.3兆円から9兆円程度に増額
- 10年物国債を0.25%の利回りで無制限に毎営業日購入する「連続指値オペ」の利回りも0.5%に引き上げ
- 短期金利をマイナス0.1%とするマイナス金利政策や、金融政策の指針となるフォワードガイダンス、指数連動型上場投資信託(ETF)およびJリートの買入れ方針などは据え置き
日銀は、「金融緩和の効果が、企業金融などを通じて、より円滑に波及していくと考えており、この枠組みによる金融緩和の持続性を高めることで、2%の「物価安定の目標」の実現を目指していく」としています。
▣ 急激な金利上昇は抑制する姿勢
今回の措置は、日銀によって新発10年国債利回り水準が前後の年限の国債利回りに比べ低く抑えられている歪んだ金利形成(イールドカーブ、利回り曲線)を是正すること(図表1)に加え、円安による経済への悪影響を考慮したものといえます(図表2)。
この決定がサプライズとなり、株価、ドル円、Jリートは急落、国内金利は大きく上昇しました。
日銀は20日、長期金利が一時0.46%に急上昇する中、急激な金利上昇を抑制するため、臨時の国債買入れオペに加え、2年、5年、20年の新発国債を対象に、それぞれ指定した利回り0.020%、0.170%、1.245%で無制限に買い入れる「指値オペ」を実施しました。
▣ しばらくは今回の見直しの影響を確認していく姿勢か
黒田総裁は、今回の見直しは金融引締めではないと述べていますがやや無理があります。ただ、賃金上昇を伴う形で2%の物価目標を持続的・安定的に実現することを目指しており、現状では実現までに
なお時間を要する見通しで、金融政策の枠組みや出口戦略について具体的に論じるのは時期尚早としています。今回のような長期金利の変動幅の再拡大は考えていないとしており、しばらくは今回の見直しの影響を確認していく姿勢とみられます。
とはいえ、来年4月には黒田総裁は任期満了となり、新しい総裁が就任します。新しい総裁のもとでのより機動的な金融政策、出口戦略(大規模な金融政策の正常化)への思わくもくすぶります。
もっとも、円安進行が抑えられてきていること、物価の上昇も年明け以降は落ち着いてくると見込まれること、また米連邦準備理事会(FRB)による利上げペースが鈍化し、来年半ばまでには利上げが停止されるとの見方が強まっていることなどから、日銀がすぐに一段の金融緩和の修正を進める可能性は低そうです。
債券市場が落ち着いてくれば、投資家心理が改善することも想定されます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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