FRB、利上げ鈍化もタカ派姿勢を堅持
- 今回のFOMCのポイント -
- 利上げ幅は0.50%と、前回までの0.75%から縮小
- 利上げ幅については事前予想通り、政策金利見通しは予想より若干引き上げも想定の範囲内
- 米消費者物価指数の伸び鈍化も、FRBはタカ派姿勢堅持
▣ 0.50%の利上げを決定
米連邦準備理事会(FRB)は12月13、14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.50%の利上げを決定しました。4会合続いた0.75%の利上げから、利上げ幅を縮小しました。利上げ幅縮小については大方の予想通りでサプライズはありませんでした。
市場では、前日発表の11月の米消費者物価指数(CPI)上昇率が2か月連続で事前予想を下回り、FRBが金融引締めに積極的なタカ派的な姿勢を和らげるとの期待も出ていました。
ただ、声明文では「インフレリスクに細心の注意を払っている」、「誘導目標レンジの継続的な引き上げが適切」との文言は維持され、またパウエルFRB議長は、「これまでに入手した10月と11月のインフレデータは、月々の物価上昇率が低下しており、これを歓迎しているが、インフレが持続的な下降経路にあるという確信を得るには、さらに多くの証拠が必要になるだろう」と、タカ派的な姿勢を崩しませんでした。
▣ 成長率見通しを引き下げ、物価見通しは引き上げ
あわせて公表したFOMC参加者の経済見通しでは、2023年の実質国内総生産(GDP)予想の中央値は前年同期比0.5%増と、9月予想の1.2%増から大きく下方修正されました(図表1)。積極的な金融引締めが押し下げた格好です。2024年についても、1.6%増と前回予想の1.7%増から若干引き下げられました。2025年は1.8%増と、ようやく長期見通しに達する見通しです。
失業率についてはさらに引き上げられ、2023年には長期見通しの4%を上回る予想です。
また、FRBが物価の目安として注目する食品・エネルギーを除くコア個人消費支出価格指数(コアPCEデフレーター)は、来年以降、徐々に低下していく見通しですが、2023年、2024年の水準が引き上げられました。2025年は2.1%と、FRBの目標である2%に近づきます。
▣ 政策金利見通しを引き上げ
注目されたFOMC参加者の政策金利見通しでは、2023年末の政策金利の水準(中央値)が5.125%と9月の4.625%から大幅に引き上げられました(図表2)。2024年末は4.125%、2025年末は3.125%と、それぞれ9月の見通しの3.875%、2.875%から引き上げられました。
来年は0.75%利上げするとの見通しですが、市場では来年前半に0.5%政策金利が引き上げられた後、後半は利下げもあり得るとの織り込みで、FOMC参加者の見通しと乖離があります(図表3)。
利上げ停止が見えてきたことは安心材料です。とはいえ、インフレはピークアウトしつつありますがまだ高水準です。来年、ターミナルレート(最終到達点)に達した後も、政策金利を高水準で維持する姿勢のFRBと、景気悪化に配慮せざるを得なくなるとみる市場との乖離が、今後の不安要因になる可能性があります。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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