日銀は引き続き大規模緩和を維持
▣ 大規模な金融緩和策を維持
日銀は10月27、28日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めました。短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度で推移するよう誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)も据え置きました。
上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行うことに加え、ETF(上場投資信託)を年約12兆円、不動産投資信託(リート)を年約1,800億円に相当する増加ペースを上限に必要に応じて買い入れる方針も維持しました。
ただ、ETF の買入れについては、2022年12月1日から、原則として信託報酬率が最も低い銘柄を買入れる運営に変更されます。
また、長期金利(新発10年国債利回り)が0.25%を超えないよう国債を無制限に買い入れる指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施する“連続指値オペの運用”に加え、フォワードガイダンス「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」も維持しました。
今回の決定は大方の予想どおりで、この決定を受けた金融市場の動きは限定的でしたが、黒田総裁の記者会見で日米の金融政策の方向性の違いが意識され、ドル高・円安に振れる動きになりました。
▣ 物価見通しを上方修正、成長率見通しは下方修正
あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、実質GDP(国内総生産)成長率の見通しについては、夏場の新型コロナウイルの感染拡大や海外経済の減速の影響から、2022年度を中心に下方修正されました(図表1)。
消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通しは、輸入物価の上昇やその価格転嫁の影響から、2022年度は前年度比プラス2.9%と前回4月時点の見通し(プラス2.3%)から上方修正されました。2023年度、2024年度についても引き上げられましたが、それぞれ1.6%、1.6%と、物価安定目標の2%に届かない見通しです。
物価については引き続き、2022年末にかけて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めたあと、エネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想しています。
▣ 今すぐ金利引き上げとか金融緩和の出口が来るとは考えていない
会合後の記者会見で黒田日銀総裁は、大規模な金融緩和を堅持する姿勢を改めて示しました。
主な発言は以下のとおりです。
- 為替相場はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映して推移することが重要で、一方的な動きは日本経済にとってマイナスであり、望ましくない。
- 日米金利差だけに着目して最近の為替動向を説明することは一面的ではないか。
- YCCが円安をもたらすことはない。
- 消費者物価の中心的な見通しも今年度は3%程度になるものの、来年度以降は1%台半ばになると予想している。賃金の上昇を伴う形で、物価目標を持続的・安定的に実現できるよう金融政策を行っていく。
- 2023年度と2024年度の物価見通しを上方修正し、2%への道が少し近づいているのは事実だが、2%には2024年度でも依然として達しない見込み。
- 3%くらいの実質的な賃上げがないと2%の物価目標を達成できない。
- 今すぐ金利引き上げとか金融緩和の出口が来るとは考えていない。
- 2%が展望できるようになった時には出口の議論をする。
- 市場ではイールドカーブの歪みが指摘されているが、YCCの下、適切なイールドカーブにする目標は達成されている。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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