IMF世界経済見通しメモ(2022年10月)
▣ 2022年は据え置き、2023年は下方修正
国際通貨基金(IMF)は10月11日、最新の経済見通しを発表しました。
2022年の世界経済の成長率見通しは、7月の予測から据え置かれましたが、2023年については0.2ポイント引き下げられました。
世界の成長率は、2022年上半期の米国経済の収縮、2022年後半のユーロ圏経済の収縮、不動産部門の危機が高まる中国での新型コロナの感染拡大とロックダウン(都市封鎖)の長期化など、経済大国の大幅な減速を反映して、2021年の6.0%から2022年には3.2%、2023年には2.7%へと鈍化する見込みです(世界および主要国の見通しは図表1、2を参照)。
IMFチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は、「最悪の事態はこれから。多くの人にとって、2023年は景気後退期のように感じられるだろう」と厳しい見方を示しました。
他方、世界のインフレ率については、2022年末にピークを付けるとみているものの、当初予想よりも長い間、高止まりする見通しで、2021年の4.7%から2022年には8.8%に上昇し、2023年には6.5%、2024年には4.1%に低下すると予測しています。
▣ 軒並み下方修正
米国の2022年の成長率は、高インフレや利上げの影響などから7月の2.3%から1.6%に大きく引き下げられました。
ユーロ圏については、2022年は0.5ポイント引き上げられたものの、2023年には0.7ポイント引き下げられました。ドイツとイタリアについては2023年はマイナス成長の予測です。
中国は、2023年は持ち直す見通しですが、2022年、2023年ともに若干引き下げられました。
日本についても2022年の成長率は据え置かれましたが、2023年は0.1ポイント引き下げられました。
▣ 経済見通しの不確実性は非常に大きい
IMFは、経済見通しの不確実性は引き続き、非常に大きく下振れ方向のリスクに傾いているとし、その一つとして金融政策を挙げています。
金融引締めが不十分となる場合と、過度に強すぎることとなる場合の双方のリスクがあり、引締めが足りないと、物価上昇がさらに続くほか、中央銀行の信頼を損ない、インフレ期待が制御不能となる一方、引き締め過ぎると、世界経済を不必要なほど過酷な景気後退に陥らせるリスクがあると指摘しています。
また、金融政策は必要に応じて、市場の安定を確保すべきだが、世界中の中央銀行はインフレ抑制にしっかりと焦点を合わせて、着実に政策を推し進める必要があると、釘を刺しています。
IMFはドル高の弊害も指摘していますが、欧米の中央銀行の市場に厳しい金融政策が続く可能性が高そうです。内外の金融市場は、インフレの動向に加え、金融政策の経済への影響も確認しながら、方向感を探っていくことになりそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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