GPIF、買い余力は乏しいか

2022/08/08 <>

▣ 第1四半期はマイナス

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月5日、2022年4-6月期の運用実績を公表しました(図表1)。

世界的にインフレが進行する中、欧米の主要な中央銀行が政策金利の引上げや量的金融緩和の解除を決定し、欧米を中心に金利は上昇(債券価格は下落)し、為替は対ドル・対ユーロともに円安が進行しました。

こうした中、国内債券の収益はマイナス、一方、外国債券については現地通貨での価格は下落しましたが、円安が進行したことからプラスの収益を確保しました。また、主要国の金融引締めを受け、外国株式は売りが強まり、円安進行でも収益はマイナスになりました。国内株式も振るいませんでした。

▣ 国内債券、外国株式の構成割合が低下、外国債券は上昇、国内株式はほぼ変わらず

GPIFは2020年度から、基本ポートフォリオについて、前年度までの国内債券 35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%の構成割合を変更し、それぞれ25%としました。また、為替ヘッジ付き外国債券と円建て短期資産を国内債券に、外貨建て短期資産を外国債券に合算しました。

2022年4-6月期は、3月末に構成割合が26%を上回っていた国内債券を大きく売却しました。また、25%を上回っていた外国株式については、売却に加え、価格の下落から、構成割合が24.12%まで低下しました。国内株式については、構成割合はほぼ変わらず、外国債券については円ベースで資産価格が上昇したことから、25%を上回りました。

▣ 国内株式の買い余力は乏しいが

足元では、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の構成割合が、ほぼ基本ポートフォリオの25%程度に収れんしています。

今後、相場が大きく動かないことを前提にすると、各資産については残高維持の可能性があります。

国内株式については買い余力に乏しい状況ですが、相場が大きく崩れる局面では、構成割合を維持するため買いに動き、相場を支えることも想定されます。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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