オフィス需要、労働市場の回復やビル供給減が下支え

2022/06/09 <>

▣ 5月の東京都心の空室率は2か月ぶりに低下

三鬼商事が6月9日発表した5月時点の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は6.37%と、4月に比べ0.01ポイント低下しました(図表1)。空室率の低下は2か月ぶり。

5月は経済正常化に伴いオフィス回帰の動きがみられる中、既存ビルで中規模面積の成約があったことが空室率の低下につながった模様です。オフィス賃料は2万319円(前月比-0.04%)となり、22か月連続で下落しました。

▣ 労働市場の回復に伴い、オフィス需要が持ち直し

空室率は失業率にやや遅行して動く傾向があります(図表2)。失業率は2020年のコロナショックを受け上昇しましたが、2020年10月の3.1%をピークに低下に転じ、今年4月には2.5%とコロナ前の水準に戻りつつあります。労働市場の回復に伴い、オフィス需要が少しずつ回復しているとの見方ができそうです。

他方、賃料については下落傾向が続いています。もっとも、有効求人倍率が1倍を割り込まず、2020年9月を底に持ち直す中、賃料の下落も鈍化してきています(図表3)。

▣ ビルの供給面からも下支えされる可能性、経済再開への期待も

森ビルが発表した「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2022」によると、東京 23区の大規模オフィスビルの供給量は、2022年は過去平均(2000年~2021年、108.6万㎡)を大きく下回る見込みです(図表4)。また、今後5年間でも、過去平均を下回る見通しです(図表4、今後5年間の平均は88.0万㎡)。

まん延防止等重点措置が解除され、東京都のリバウンド警戒期間も終了、また入国規制が緩和されました。GoToトラベルの再開観測も浮上してきています。経済活動の再開が期待される中、オフィスビルの供給面からも、Jリート市場が下支えされることが見込まれます。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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