日銀、長期金利上昇を抑制する姿勢を明確化
▣ 大規模な金融緩和策を維持、連続指値オペを毎営業日実施
日銀は4月27、28日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めました。短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度で推移するよう誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)も据え置きました。
上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行うことに加え、ETF(上場投資信託)を年約12兆円、不動産投資信託(リート)を年約1,800億円に相当する増加ペースを上限に必要に応じて買い入れる方針も維持しました。
また、今回は「連続指値オペの運用の明確化」として、長期金利(10年国債利回り)が0.25%を超えないよう国債を無制限に買い入れる指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施することを決めました。
長期金利の上限を0.25%とするイールドカーブ・コントロールを堅持する姿勢を明確に示した格好です。
▣ この決定を受けた金融市場は
この決定を受け、28日には128円台後半でもみ合っていたドル円は130円に接近、長期金利も0.245%から一時0.215%まで低下しました。日銀が大規模な金融緩和を維持する姿勢を一段と明確化したことや、円安進行を背景に、国内株は上昇する動きになりました。Jリート市場の反応は限定的でした。
▣ 2022年度の物価見通しを大きく上方修正
あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、2021年度と2022年度の成長率が、新型コロナウイルの感染再拡大や資源価格の上昇、海外経済の減速の影響などから下方修正されました(図表1)。
2022年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通しは、エネルギー価格上昇の影響などから、プラス1.9%と前回1月時点の見通し(プラス1.1%)から大きく上方修正されました。2023年度はプラス1.1%と変わらず、2024年度についてもプラス1.1%としました。
日銀は物価について、携帯電話通信料下落の影響が剥落する2022年度には、エネルギー価格の大幅な上昇の影響により、いったん2%程度まで上昇率を高めるが、その後は、エネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想しています。
▣ 黒田総裁は
会合後の記者会見で黒田日銀総裁は、金利上昇を抑制する姿勢を改めて示しました。
主な発言は以下のとおりです。
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- 資源価格が上昇を続けるとは想定しておらず、エネルギー価格の物価押し上げ寄与は先行き薄れていくと見込んでいる。
- 最近の資源価格の上昇は、経済にマイナスに作用し基調的な物価上昇率に対しても下押し圧力をもたらすことから、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適当。
- 為替相場の変動が経済や物価に与える影響を十分注視していく。
- 円安が日本経済にとってプラスという認識は変わらないが、過度に急激な変動は不確実性の高まりを通じてマイナスに作用することも考慮する必要がある。
- 今回の政策が従来の政策に比べて円安を促すとは思っていない。あくまでも、日銀の金融政策への思わくで金融市場が動くことを避けることが目的。
- 最近の為替市場での急激な変動がマイナスに作用するという認識は財務相と同じ。
- 長期金利が0.25%に近づいたときに指値オペをするのかしないのかという市場の臆測を回避し、長期金利が±0.25%という変動幅を超えることを防止するという考えをより明確にするため、「連続指値オペの明確化」を導入した。
- 長期金利がゼロ%程度(ゼロ±0.25%)を超えて上昇することは経済にプラスの影響を与えない。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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