強まるFRBのテーパリング加速、利上げ前倒し観測
▣ FOMC議事要旨では、テーパリングの加速、利上げ前倒しの意見も
米連邦準備制度理事会(FRB)は11月24日に、米国債などを買い入れる量的緩和の縮小(テーパリング)開始を決定した米連邦公開市場委員会(FOMC、11月2-3日開催)の議事要旨を公表しました。
様々な参加者がインフレ目標(一定期間を通じて平均2%のインフレ率)を上回る水準が続くならば、資産購入ペースを調整し、現在想定しているより早期に政策金利を引き上げることに備えるべきと、テーパリングを加速させ、利上げ時期も早める可能性を示唆しました。もっとも、利上げについては、資産購入ペースの縮小よりも厳格な基準を適用すべきとの意見も出された模様です。
▣ 米インフレは加速、労働市場は改善
11月のFOMC以降に発表された、物価指標が大幅な伸びを記録したことや労働市場の回復が示されたことを受け、テーパリングの加速や早期利上げ観測が一段と強まっています。
10月の米消費者物価指数(CPI)で食品とエネルギーを除くコア指数が前年同月比4.6%上昇と1991年8月以来の高水準となり、インフレ圧力の高まりが警戒される中、24日に発表された10月の個人消費支出(PCE)物価指数では食品とエネルギーを除くコア指数が前年同月比4.1%上昇し、約30年ぶりの伸びを記録、また週間の米新規失業保険申請件数は52年ぶりの水準まで減少しました。
▣ FRB議長にパウエルが再任する見通し
また、FRBの次期議長人事で、金融引締めにより慎重なブレイナード理事ではなくパウエル議長が再任される見通しとなったことや、バイデン米大統領がインフレの反転が最優先事項と、インフレの脅威に対処する姿勢を示していることも、早期利上げ観測を強めているとみられます。
▣ 市場の利上げの織り込みは
米短期金融市場では2022年6月までに少なくとも1回利上げされる確率は70%を超え、12月までに3回利上げされる確率は60%前後まで上昇しています(図表1、2)。
早期利上げが意識され、米金融市場では米長期金利は24日には一時1.69%まで上昇、ドル円は115円52銭程度と2017年1月以来の水準まで上昇しました。
▣ ただ、米長期金利やドル円の一段の上昇が抑制される可能性も
米長期金利については、すでに利上げをある程度織り込んでいるとみられる中、早めの利上げに動くことでインフレが抑制される可能性があることに加え、徐々に供給網の制約などからインフレ圧力が和らいでいき、原油などエネルギー価格の伸びも鈍化していくとの見方が広がると、一段の上昇は限定的になる可能性があります。ドル円についても、日米の金融政策の方向性の違いが鮮明になる中、下落しにくいものの、米金利の上昇が限定的との見方が広がると、上昇圧力が和らぐ可能性があります。
12月のFOMC(14-15日)では、テーパリングのペース加速について議論されるとみられます。あわせて公表される政策金利見通しでは、利上げ回数が引き上げられるか、また政策金利の長期見通し(9月時点では2.5%)が引き上げられるかが注目されます。12月のFOMCを確認するまでは、内外の金融市場はやや神経質な動きが続きそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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