日銀、大規模緩和を維持、2021年度の見通しを下方修正
▣ 大規模な金融緩和を継続
日銀は10月27、28日の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標である10年物国債の利回りをゼロ%程度に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や上限を設けない長期国債の買入れなど、大規模な金融緩和の維持を決めました。
また、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(Jリート)について、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う方針も維持しました。
▣ 2021年度の成長率見通し、インフレ見通しを下方修正
あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、2021年度の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しを前年度比3.4%と、7月時点の3.8%から引き下げました(図表1)。一方、2022年度については、前回の2.7%から2.9%に引き上げました。
消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)上昇率の2021年度の見通しは0.0%と、基準改定(指数に採用する品目とそのウエイトなどを見直し)の影響などから、7月時点の0.6%から引き下げました。2022年度は0.9%の上昇、2023年度は1.0%の上昇と前回の見通しと変わらず、2%の物価目標は見通せない状況が続いています。
▣ 展望レポートの公表文(基本的見解)の主なポイント
日本経済の先行きについては、当面は、新型コロナウイルス感染症によるサービス消費への下押しの影響が残るほか、輸出・生産が供給制約により一時的に減速するが、その後は、ワクチンの普及などに伴い感染症の影響が徐々に和らいでいき回復していく。
- 先行きの物価については、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、エネルギー価格の上昇を反映してプラス幅を緩やかに拡大していくと予想。
- 前回の見通しと比べると、成長率については、2021年度は輸出や個人消費を中心に幾分下振れているが、2022年度は幾分上振れ。
- 物価については、基準改定の影響を主因に2021年度が下振れ。
- リスク要因としては、引き続き感染症の動向や、それが内外経済に与える影響に注意が必要。
- とくに、感染抑制と経済活動の両立が円滑に進むかどうか不確実性が高いほか、一部でみられる供給制約の影響が拡大・長期化するリスクにも留意が必要。
- リスクバランスは、経済の見通しについては、感染症の影響を中心に、当面は下振れリスクの方が大きい。
- 物価の見通しについては、下振れリスクの方が大きい。
▣ 2%の物価目標を堅持
黒田日銀総裁は会合後の記者会見で、足元の円安を容認するとともに、中長期的に見て2%の物価安定目標を堅持して金融政策を運営することが、経済や物価、雇用の安定につながると述べました。物価目標の達成が見通せない中、日銀の異次元の金融緩和は続きます。
他方、米連邦準備制度理事会(FRB)は11月の米連邦公開市場委員会(FOMC、2-3日)で、テーパリング(米国債などを買い入れる量的緩和の縮小)開始を決定するとみられ、金融政策の正常化に向かうFRBと異次元緩和を継続する日銀との方向性の違いがより顕著になりそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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