早期のテーパリング観測はやや後退

2021/08/31

▣ パウエルFRB議長はややハト派

注目が集まっていた8月27日のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演では、量的緩和(米国債などの資産買入れ)を段階的に縮小するテーパリングの開始時期や縮小ペースについて、踏み込んだ発言はありませんでした。

金融政策についての主な発言は、

  • 経済がおおむね予想通り進展した場合には、年内に資産買入れのペースの減速を開始するのが適切となり得る
  • 資産買入れ縮小の開始時期やペースについては、利上げ開始の時期に関する直接的なシグナルを送ることを意図するわけではない
  • 最大雇用と物価が当面の間緩やかに2%を上回る水準を満たすまでは、政策金利を現行の水準で維持する
  • 資産買入れが終了した後も、FRBが保有する高水準の資産規模が緩和的な金融環境を支える

と、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨と大きく外れる内容ではなく、8月に入り相次いでいるFRB高官からのテーパリングについての積極的な発言と比べ、ややハト派的な(早期のテーパリング開始に慎重な)姿勢が示されました。

▣ テーパリングの開始時期、縮小ペースは

テーパリングについて市場では、早ければ9月のFOMCで開始を決定し、10月か11月から実施、11月に決定し、12月から実施、あるいは12月に決定し、来年1月から実施するなどの見方が出ています。ただ、今回のパウエルFRB議長の発言を受け、早期のテーパリング開始観測がやや後退した格好です。

FRBは現在、米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を月400億ドル買い入れる量的緩和策を続けています。縮小ペースについては、米国債とMBSの買入れ額を毎月それぞれ100億ドルと50億ドルずつ減らし8か月で終了するとの見方が市場の大勢ですが、セントルイス連銀のブラード総裁などは、毎月それぞれ200億ドルと100億ドルずつ減らし、早めに(来年3月末までに)テーパリングを終了することで、利上げを決定する時期について選択の幅を広げることを提案しています。

▣ テーパリングは織り込み済みも

いずれにせよ、米債券市場はテーパリング開始についてはほぼ織り込んでいるとみられます。前回、テーパリング開始前の米長期金利の上昇がやや行き過ぎた反省もあり、今回のテーパリング開始による金利の押上げは限定的になることも想定されます(図表1)。

他方、パウエルFRB議長からはテーパリングと利上げは別との認識が示されましたが、FOMC参加者の6月の政策金利見通しでは、2023年は18人のうち11人が2回以上、8人は3回以上の利上げを予想しています(図表2)。また、2022年についても、5人が1回、2人が2回の利上げを見込んでいます。

前回の利上げ開始(2015年12月)後も、米長期金利の低下が続きましたが、2回目の利上げ(2016年12月)に向けては、1%台前半から2.5%程度まで大幅な上昇となりました。また、テーパリング終了(2014年10月)から利上げ開始まで1年以上間隔が空きましたが、今回はさほど間隔が空かない可能性があります。

目先は、テーパリングの開始時期や縮小のペースが関心事ですが、テーパリングが早めに終了するとの観測が広がり、その先の利上げが意識されると、金融市場がやや不安定な動きになる可能性があり注意が必要です。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=9&type=env

 

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