GPIF、引き続き国内株式に買い余力
▣ 5四半期連続の黒字
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月6日、2021年4-6月期の運用実績を公表しました(図表1)。新型コロナウイルスのワクチン接種拡大による経済活動の正常化への期待感に加え、主要国における緩和的な金融政策の継続により、外国株式市場が上昇したことや、米長期金利の低下などを背景に外国債券が上昇したことが収益に寄与し、運用益はプラス4兆9,819億円と、5四半期連続のプラスとなりました。ただ、国内株式については、新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒感が続く中、ややさえない動きとなり、若干ながら足を引っ張った格好です。
▣ 基本ポートフォリオの構成割合から大きく乖離せず
GPIFは2020年度から、基本ポートフォリオについて、前年度までの国内債券 35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%の構成割合を変更し、それぞれ25%としました。また、為替ヘッジ付き外国債券と円建て短期資産を国内債券に、外貨建て短期資産を外国債券に合算しました。
2021年4-6月期は、国内債券、国内株式の構成割合が若干低下した一方、外国債券、外国株式の構成割合が上昇し、外国株式の構成割合が25%を上回りました。
今年3月末に構成割合が25%を上回った国内債券については、9,000億円超の売り越しとなり、構成割合が低下しました。外国債券については、4,000億円弱売り越したものの、良好な市場の動きを受け、構成割合が若干上昇しました。
国内株式については、株式相場が伸び悩み、2,200億円程度買い増した模様です。外国株式については、2兆7,000兆円弱の売却があったとみられますが、相場上昇により資産額が押し上げられ、構成割合は25%を上回りました。
▣ 国内株式に買い余力
足元の国内債券、外国債券の構成割合は、6月末とほぼ同水準です。また、外国株式の構成割合が若干上昇している一方、国内株式の構成割合は低下しているとみられます。
今後、相場が大きく動かないことを前提にすると、国内債券は残高維持もしくは若干の売却、外国債券については維持もしくは若干の買い増し、外国株式については売却し、25%程度に戻す可能性があります。国内株式については買い余力があり、相場の下支えに寄与することも想定されます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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