IMF世界経済見通しメモ(2021年7月)
▣ 世界経済の成長率見通しは、2021年は変わらず、2022年は上方修正
国際通貨基金(IMF)は7月27日改定した世界経済見通しで、2021年の成長率見通しを6.0%と前回4月の予測から据え置きました(図表1)。2022年の世界経済の成長率は4.9%と、前回予測から0.5ポイント上方修正しました。
今年の成長率見通しは先進国・地域が0.5%ポイント改善している一方、新興市場国・発展途上国の成長率見通しが、アジア新興市場国の大幅な下方修正を受けて引き下げられたことによって相殺された格好です。
2022年については、前回予測から上方修正されましたが、先進国の大幅な上方修正に対し、新興市場国・発展途上国についての上方修正は小幅な上方修正にとどまりました。
▣ 日本については、2021年は下方修正、2022年は上方修正
今回の改定では、日本の成長率見通しについては今年前半の新型コロナウイルスの感染数増加に伴う制限強化を受けて、2021年の予測が下方修正されました。ただ、ワクチン接種の進捗と経済活動の完全再開に応じて、2021年後半にはより力強い回復が見込まれているとし、2022年の成長率予測は上方修正されました。
▣ ワクチンへのアクセスが世界経済の回復を二分する主要な断層線
ギータ・ゴピナートIMF経済顧問兼調査局長は、予想よりも早いワクチン接種と経済活動の正常化が上方修正を可能にした一方で、インドをはじめとする一部の国ではワクチンへのアクセスの不足と新型コロナの新たな感染の波が下方修正につながったとしています。
政策支援における相違も、先進国と新興市場国・発展途上国との間の格差を拡大する要因と指摘しています。
▣ 全体的なリスクは下方
また、ギータ・ゴピナート氏は、
- 感染力の強いウイルス株の出現によって回復が頓挫する恐れ
- 資産価格が過熱する中、米国の金融政策見通しが突如見直されれば、金融環境が急激にタイト化する可能性(早期の金融政策の正常化)
- 米国における財政刺激策の規模が予想を下回る可能性
などにより、リスクは下方に傾いているとしています。
▣ ベースライン予測の主な前提
- ウイルスの地域内における感染は、より適切に的を絞った予防策とワクチン・治療法へのアクセス向上を通じて、2022年末までにどの場所でも低水準に抑えられると予期。先進国では、総じて2021年夏までにワクチンが広く利用可能となる見込み
- しかしながら、ワクチンが広く利用可能になる前にさらなる感染の波が発生する可能性を想定
- 米国において現政権が提案している「米国雇用計画」と「米国家族計画」の総規模に沿う形で追加の財政支援が行われることを前提
- 「次世代のEU(欧州連合)基金」による補助金と融資もEU加盟国の予測に織り込み
- 主要中央銀行は、2022年末までの予測期間を通じて政策金利を変更せずに維持すると想定
- 原油価格は2020年の低い水準を60%近く上回るまでに上昇すると予想。原油以外の一次産品価格は、2020年の水準を30%近く上回るまで上昇
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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