オフィスリートは出遅れも、持ち直しの動き
▣ オフィス市況の悪化が継続
オフィス仲介大手の三鬼商事が6月10日に発表した5月時点の東京都心のオフィス空室率は5.90%と、前月比0.25ポイント上昇し、15か月連続の上昇、平均賃料は前月比0.78%下げて、10か月連続で下落しました(図表1)。
デジタル化の進展を背景に業績が好調なIT企業にオフィス拡張の動きがある一方で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの普及などによる縮小や、拠点集約に伴う大企業の解約が空室率を押し上げた模様です。
▣ 雇用情勢は目先悪化も、徐々に回復する見通し
コロナ禍で雇用情勢が悪化していることも、空室率悪化の要因として挙げられます。国内の完全失業率は、昨年11月以降、低下に転じていましたが、今年4月には2.8%と、前月から0.2ポイントの上昇となりました(図表2)。まんえん防止等重点措置の適用や緊急事態宣言の発令が大きく影響したとみられます。
オフィス空室率については失業率に遅れて動く傾向がみられます。緊急事態宣言の再延長などから、雇用情勢は足元では軟化しているものの、今後は新型コロナウイスのワクチン接種の進展により、国内でも経済活動の正常化が進むとみられます。雇用情勢が回復してくれば、空室率の悪化ペースが鈍化することも想定されます。
日本経済研究センターの民間エコノミストを対象にした経済見通し-ESPフォーキャスト6月調査(回答期間:2021年6月3日~6月10日)では、失業率は2021年4~6月期に2.88%へ上昇し、10-11月期以降2023年1~3月期まで低下が続く見通しです。
▣東証REITオフィス指数は戻りが鈍いものの、今年に入り堅調な動き
用途別の東証REIT指数の動きについては、東証REIT商業・物流等指数はコロナの感染拡大前の高値を上回り、また、東証REIT住宅指数はコロナの感染拡大で急落する前の昨年2月20日とほぼ同じ水準まで戻っているのに対し、東証REITオフィス指数は戻りが鈍い状況です(図表3)。
とはいえ、オフィス賃料の悪化が前月比で鈍化した昨年の11月以降、東証REITオフィス指数は持ち直してきています(図表4)。今年に入ってから6月15日までの上昇率は、東証REITオフィス指数は22.7%と、東証REIT住宅指数の19.6%、東証REIT商業・物流等指数の18.8%を上回ります。他の用途と比べた出遅れ感や経済正常化への期待が東証REITオフィス指数を押し上げているとみられます。
▣ ビルの供給面からも下支えされる可能性
森ビルが発表した「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2021」によると、東京23区の大規模オフィスビルの供給量は、2020年は過去平均(2000年~2020年、111万㎡)を大きく上回ったものの、2021年、2022年は供給量が大きく減少し、今後5年間でも、過去平均を下回る見込みです(図表5、今後5年間の平均は93.6万㎡)。
今後のワクチン接種の進展や緊急事態宣言等の延長の有無などを確認する必要がありますが、経済活動の正常化や雇用情勢の回復が期待される中、オフィスビルの供給面からも、Jリート市場が下支えされることが見込まれます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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