日銀の金融緩和は一段と長期化
▣ 大規模緩和を維持
日銀は4月26、27日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和の維持を決めました。短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標である10年物国債の利回りをゼロ%程度に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や上限を設けない長期国債の買入れのほか、3月に変更した上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(Jリート)の買入れ方針も維持しました。
日銀は3月の政策点検で、長期金利の変動幅を、“±0.2%程度”から“±0.25%程度”に拡大しました。また、ETF、Jリートの買入れについて、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円としていた目標を撤廃する一方、年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースの上限については維持し、より弾力的な買入れ方針に変更しました。
▣ 出口戦略を議論するのは時期尚早
黒田総裁の記者会見での主な発言は以下のとおりです。
- 景気の現状は新型コロナウイルスの影響で厳しいが、基調としては持ち直している。
- 2%の物価目標の達成に時間がかかっていることは残念。
- 21年度の物価見通しについては、携帯電話通信料の引き下げが下押しした。
- 主要先進国の中央銀行が2%の物価目標を掲げており、それが為替レートを安定させている。
- 2%の物価目標は適切で、引き下げることは考えていない。
- 現時点で具体的な出口戦略を議論するのは時期尚早。
- ETFについては、市場が大きく動いた時に大規模な買入れを行うことによって、市場の安定を回復できることが点検ではっきりした。
- 3月の会合でのETFの買入れの方針の見直しは、メリハリをつけてETFの買入れを行うということであり、ETFの買入れの出口では全くない。
▣ 2023年度の物価見通しは1.0%の上昇にとどまる
あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、2021年度の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しを前年度比4.0%と、1月時点の3.9%から引き上げました(図表1)。成長率については、内外需要の強まりを背景に2022年度を大きく引き上げた模様です。消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)上昇率の2021年度の見通しについては、携帯電話料金の引き下げなどの影響を受け、0.1%と0.5%から下方修正しました。
今回新たに公表した2023年度のコアCPIは1.0%上昇と、2023年4月の黒田総裁の任期満了までには、2%の物価目標は実現できない見通しです。
▣ オペレーションに対する思わくはくすぶり続ける
金融緩和の更なる長期化が意識される中、日銀は今年に入り国債の買入れ額を徐々に減らしてきています。ETF、Jリートについても、買入れ実施のハードルを高くし、買入れに動く頻度が減っています。
これまでのところ市場への影響は限定的ですが、今後、日銀が長めの残存年数の国債買い入れを減額し、イールドカーブ(利回り曲線)のベア・スティープ化(残存期間が長い債券ほど利回りが上昇)を限定的ながら促すのか、また、ETF、Jリートの買入れをどのタイミングで実施するかなど、日銀のオペレーション(資産買入れ)をめぐる思わくがくすぶり続けそうです。
図表、スケジュール入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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