世界各国の問題:金融市場の見通しはそれほど暗くない
米国:大幅利上げは一巡か?
主要な国や地域は、それぞれ大きな問題をかかえています。それでも現在の金融市場は、少しずつ安定に向かっているようにも見えます。様々な問題が、少なくとも市場にとっては好転しつつあるからです。
今年の市場を最も混乱させてきたのは、米国の利上げに対する警戒感です。しかし今、インフレの鈍化傾向などを受け、ようやく大幅利上げの一服を期待できる状況になってきました。つまり、12月から利上げペースが鈍化し、来年の半ば頃には利上げ停止、とのシナリオが、かなりの現実味を帯びているのです。
欧州:エネルギー危機回避?
ユーロ圏や英国では、エネルギー価格の高騰などで、まだインフレ率が上がっています。これによる個人消費や工業生産への打撃が欧州経済で一番懸念される問題ですが、足元、明るい動きも出てきています。
特に、天然ガス価格の下落です(図表1)。これはロシア以外の国からのガス供給増や、今秋の高めの気温による暖房需要抑制などのためです。原油価格も足元軟調となっており、このままエネルギー価格が抑えられれば、欧州経済はこの冬、従来の悲観的な見通しよりも底堅いものになる可能性が低くありません。
中国:ロックダウンを緩和?
米欧経済への過度な悲観が和らぐ一方、中国の問題はもっと厄介かもしれません。北京など多くの都市でコロナウイルスの感染が拡大しており、それに伴う行動制限が経済を圧迫し続ける恐れがあるのです。
こうした中で今、ロックダウン(厳格な行動制限)への不満などから、主要都市で学生らによる抗議運動が起こっています。これに対し中国政府は若干譲歩し、ロックダウンの導入にやや慎重となりそうです。金融市場は、それを歓迎するでしょう(ただ感染動向によっては、ロックダウン強化に舵を切る可能性も)。
日本:急激な円安は一服か?
ロックダウンで中国の工場や港湾が操業停止となれば、中国製の部品などに頼る日本企業にも、大きな打撃を与えます。また、日本経済は、円安などによる資源や食品の価格高騰という問題に直面しています。
この点、やや安どできる動きが生じています。急激な円安が、ひとまず一服しているのです。10月には一時151円台までドル高・円安が進みましたが、米国の利上げ減速期待などを受け、足元は139円付近です。まだ円は安すぎるものの、多少なりとも円高へ振れることは、物価高に悩む日本国民への朗報です。
世界:金融市場は安定回復?
ドルは10月以降、対主要通貨で下落に転じました(図表2)。新興国通貨に対しても、ドル高傾向は和らいでいます。これは、世界の安定に寄与しそうです(例えば、新興国のドル建て債務返済が若干容易に)。
以上のように各国・地域それぞれで、良い動きが見られます。中国経済の先行きは不透明であるものの、中国景気の減速は、需要低迷で原油高が抑制されるという、良い効果も与えるはずです。そのような世界経済の良い面が着目されれば、金融市場に安定が戻ったとしても、さほど驚くべきことではないでしょう。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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