2022年の世界10大選挙:民主制は、うまく機能するのか?

2022/01/11 <>

【争点はコロナ、経済、文化】

 民主主義国では、通常、選挙が経済政策の方向などを左右します。今年も多くの選挙が行われますが、中でも注目すべきは、以下10か国です。選挙を経て、各国は健全な民主制を推進できるのでしょうか。

 共通の争点はコロナウイルスや経済への対策ですが、文化などをめぐる党派対立も激しくなるでしょう。特に米国では、それらによる亀裂が深まり、中間選挙後、民主制の機能不全が深刻になる恐れがあります。

1 インド地方議会選挙(2月)

 ウッタルプラデシュ州は、インドで最多の人口(約2億人)をかかえる州です。同州の議会選挙で与党が圧勝すれば、モディ首相の人気を裏づけ、やや偏狭なヒンドゥー・ナショナリズムが勢いづきそうです。

2 韓国大統領選挙(3月)

 韓国の大統領選挙では、与党のイ・ジェミョン氏と野党のユン・ソクヨル氏との接戦が見込まれます。いずれが勝利しても、権力の乱用や汚職を減らし、政治に対する国民の信頼を回復することが急務です。

3 フランス大統領選挙(4月)

 フランスでは、マクロン大統領の再選が予想されますが、中道右派のぺクレス氏が勝利する可能性もあります。一方、極右の候補者が勝つ可能性は低く、この点は、フランスや欧州の安定にとり良いことです。 

4 ハンガリー議会選挙(4月)

 ハンガリーで12年近く首相を務めるオルバン氏は、欧州連合(EU)の理念である「法の支配」を脅かす、強権的な人物です。よって総選挙で与党が破れ同氏が首相から退けば、EU統合に寄与しそうです。 

5 フィリピン大統領選挙(5月)

 フィリピンのドゥテルテ大統領は、過激な麻薬取締りなどで、欧米から批判されました。同大統領は任期を終えますが、選挙後、新大統領(おそらくマルコス氏)が人権などを尊重するか否かは、未知数です。

6 オーストラリア議会選挙(5月)

 オーストラリアでは、感染症対策の不手際などのため、モリソン首相の率いる与党連合(自由党・国民党)が苦戦しそうです。野党(労働党)が政権を奪取した場合、温暖化対策がより積極的になりそうです。

7 コロンビア大統領選挙(5月)

 コロンビアの大統領選挙では、左翼ゲリラの元メンバーであるペトロ氏が、与党の候補者を破る可能性が現時点では高いとみられます。その場合、南米の「左傾化」傾向を世界に一段と印象づけるでしょう。

8 日本参議院選挙(7月)

 自民党・公明党で過半数議席を維持できれば、岸田首相の求心力が高まり、長期政権への道がひらかれます。ただし、コロナウイルスの感染動向次第で支持率は上下しそうなので、選挙の予測はまだ困難です。

9 ブラジル大統領選挙(10月)

 ブラジルの極右、ボルソナロ大統領は、左派のルラ元大統領に敗れる公算が大きくなっています。ただ、左派政権下では政府債務の膨張が懸念されるため、世界の投資家は政権交代を歓迎しないかもしれません。

10 米国議会選挙(中間選挙、11月)

 バイデン米大統領の現在の低支持率が続けば、上院・下院とも共和党が勝ち、民主党は少数派へ転落する可能性が高そうです。よって、それまでに同大統領は、可能な限り多くの施策を実現せねばなりません。

(注)いずれも実施月は現時点における予定または見込み。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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