聖地動乱:イスラエル・パレスチナ情勢を憂慮
多数の犠牲
聖地が集まる中東の国、イスラエルは、いつか訪れたい国です。しかし、ユダヤ人による1948年の建国以来、この国は、パレスチナとの緊張という火種をかかえています。今月中旬、それが再燃しました。
イスラエル軍と「ハマス」の間で、空爆の応酬が激化し、約260人が死亡したのです(ほとんどはパレスチナ側)。これは21日に停戦に至り、国際社会は一息つきました。また、交戦に対する金融市場の反応は、さほど目立ちませんでした(図表1)。それでも、火種はまだくすぶっており、情勢が憂慮されます。
きっかけは?
「ハマス」は、パレスチナ人(地中海東岸のアラブ人)のイスラム国家樹立を目指しています。この武装組織が、その拠点であるガザ地区(パレスチナ自治区)からイスラエルに向け、先に空爆を行いました。
この空爆は、イスラエルの首都・エルサレムで起こった事件などに対する報復です。エルサレムには、イスラム教の聖地(アルアクサ・モスク)があります。5月上旬、そのモスクでのパレスチナ人の礼拝を、イスラエル警察が妨害したようなのです。この衝突で多数の人が負傷し、パレスチナ人が激怒しました。
宗教的背景
エルサレムには、イスラム教のみならず、ユダヤ教、キリスト教の聖地も置かれています。エルサレムの旧市街は、それぞれの宗教の地区に区分されており、各宗教は普段、微妙なバランスで共存しています。
しかし、イスラエルでは最近、右派の力が増しています。そうした勢力は、エルサレムでのイスラム教の影響力が弱まるのを切望しています。そのようなユダヤ至上主義に対し、パレスチナ人の不満が以前から蓄積していました。よって、今般の警察との衝突、そして空爆の応酬は、必然だったのかもしれません。
政治も原因
イスラム教とユダヤ教は(キリスト教も)、同じ唯一神を仰ぐと解釈されるなど、多くの特徴を共有しています。「愛」を説くそれらが敵対し、今般のような紛争を起こすのは、神の正しい教えに反しています。
とはいえ、紛争の原因は、宗教だけではありません。イスラエル現首相による強硬な対パレスチナ政策には、自身の地位を保つべく右派勢力を喜ばせようとしている、との政治的事情があります。一方、「ハマス」の狙いは、イスラエルからパレスチナを守る姿勢をアピールし、自治区での主導権を強めることです。
米国の立場
伝統的に、イスラエルと親密なのが米国です。背後にあるのは、ユダヤ系米国人や、親イスラエルであるキリスト教福音派の影響力などです。しかし最近、パレスチナへの共感も徐々に増えています(図表2)。
これは、イスラエル内のアラブ人差別、イスラエル軍によるパレスチナ自治区の封鎖など、人権侵害が近年顕著だからです。そのため、当地に関するバイデン米政権の政策は、中途半端にならざるを得ません。それも踏まえると、イスラエルに平穏が訪れ、聖地巡礼が容易になるには、まだ時間がかかりそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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