為替の着眼点:いま、ユーロが面白い

2021/03/08

ユーロ高の背景に

ユーロは足元、対円で2年超ぶりの高値をつけています(図表1)。これには、三つの背景が挙げられます。第一に、根本的なこととして、ユーロ圏や欧州連合(EU)の統合が徐々に深化する、との観測です。

第二に、最近の世界的な株価変動にもかかわらず、金融市場の楽観ムードは、まだ健在だということです。投資家のリスク選好姿勢が優勢であるとき、ユーロ買い・円売りが進みやすいのです。第三に、ユーロ圏景気は、昨年終盤には日米に比べ精彩を欠いたものの、今後は回復へ向かう、と期待されることです。

景気は昨年比良好

ただし、イタリアやドイツなどでは、現在、コロナウイルスの新規感染が増加する動きも見られます。変異したウイルスへの警戒感もあるため、ユーロ圏の経済活動が正常化するのは、遠い先のことでしょう。

とはいえ、ユーロ圏でも、中国向けなどの輸出は伸びており、製造業の景況感は改善傾向です。また、感染に伴う行動制限の影響を受けやすいサービス業についても、さほど落ち込んでいません。パニックに陥った昨年春とは違い、人々は、ウイルスに慣れてきた様子です(良いことかどうかはわかりませんが)。

ワクチンでは劣勢

気がかりなのは、ワクチンの普及動向です。バイデン政権下でウイルス対策を強化した米国や、昨年にEUから離脱した英国と比べ、ワクチンの普及に関し、EUは大きく後れを取っているのです(図表2)。

EUでのワクチン調達は、主に欧州委員会が取りまとめています。EU27か国は、人口や経済力において極めて多様です。一元調達の狙いは、それらの国々に、ワクチンを公平に配布することです。しかし、各国の実情に応じた柔軟な配布を行う上で、EUの機構の官僚的な体質が、しばしば障害となっています。

EUの統合は不変

そのため現在、EU加盟国の間で、歩調の乱れが生じています。例えば、ハンガリーやチェコなどでは、ロシアや中国が開発したワクチン(EUとしては未承認)の導入を、独自に検討する動きが見られます。

それでも、ウイルス危機はEU統合をむしろ後押しする、とのシナリオに、変わりはありません。EUのワクチン戦略については、小国のマルタなどからは、高い評価を得ています。また、今年は、EU復興基金が稼働します(EUが調達した資金を各国に分配)。これを受け、財政面のEU統合も深まるはずです。

イタリアで新政権

注目すべきはイタリアです。この国は、ユーロ圏第3位の経済大国でありながら、財政不安が尽きません。それをEU復興基金などで立て直せるのか。EUの未来は、かなりの程度、この点にかかっています。

そのイタリアで2月、心強いことが起こりました。多党の支持を受け、新政権が発足したのです。しかも新首相は、欧州中央銀行(ECB)前総裁を務め、金融市場やEUで信頼の厚い、マリオ・ドラギ氏です。そうした光明の差すユーロ圏の通貨が、日本円に対し上昇しているのは、おそらく合理的なことです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

 

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
しんきん投信「トピックス」   しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融市場の注目材料を取り上げつつ、表面的な現象の底流にある世界経済の構造変化を多角的にとらえ、これを分かりやすく記述します。
<本資料に関してご留意していただきたい事項>
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会

このページのトップへ